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2021年11月4日更新

【胸腰筋膜】

山中伸弥さんがおっしゃっていました。「30年ちょっと前から医学を学び始めてからも医学の治療法、メッセージ物質、ホルモンなど多くの医学研究はダイナミックに変化している。20年以上前には皆が当たり前に信じてきたことの多くが違ってきている。医学研究というのはそれぐらい進んでいる。」
数限り無い情報を学ぶことは出来ないが、情報をかみ砕き、ぬり替える私たちの脳は、数式を展開するように経験をかけてかけて常に答えを探っている。
それは、疑問を残しながらも、自分たちの力となり治療法となるからだ。

 

今回のテーマ「胸腰筋膜」

 

「筋膜」は古代ローマの[fascia]に由来し「包む・結ぶ・束ねる」つまり包むもの、分けるものである。
「筋」とはついているが、あくまでもこれは「膜」。筋のまわりの「筋膜」、骨のまわりの「骨膜」、「腱」のまわりの「腱膜」。
「膜」に注目しているのである。

よく文字を見る。
「胸腰筋膜」って「胸?」「腰?」あれ?「胸」ですか?
腰の背面の部分で白いあの部分だけではない?という疑問は湧かないだろうか。
文献ではあの絵部分に矢印で「胸腰筋膜」と指し示す。確かに、この「膜」、「胸腰の筋肉をつつむ膜」ということだ。
さあ、その構造を解いていこう。

解剖は層からみていこう。
「皮膚」は「表皮」「真皮」「皮下脂肪」の3層を指す。
「皮下組織が筋膜である」ということは、「皮膚の下」つまり下にあるのが「皮下組織」。
「皮下脂肪」の下が「皮下組織」である。

「皮下組織」の部分には、ひとつめの筋膜、最表層の筋を覆う「皮下筋膜」つまり「浅筋膜」がある。皮膚は身体全体を覆っているというのがポイントでこの皮膚の下の全てを覆う膜が「浅筋膜」なのである。なので広範囲となる。

解剖の実習の時に「下肢」の筋肉と皮膚をきれいに剥がすとき。その「浅筋膜」の下の部分に手を入れ、スーッと一周めくるように、手の軽い動きだけで剥がしていく。その時の献体さんの状態では、割と繊維が密過ぎず剥がれにくい状態ではない。そして、その手で剥がせる状態の部分は広範囲にわたる。この広範囲にわたる部分が「浅筋膜」の部分と「深筋膜」の境であると考える。(「深筋膜」は「軸筋膜」と「四肢筋膜」も含む)

そして「深筋膜」。これは全身の筋肉系を「ひとつづきに覆う」。
「筋上膜」。つまり「筋肉をひとつひとつ覆っているのが「筋上膜」である。
その筋肉の中を細かくいうと、「繊維の束」になっていてその束を細かく覆っているのが「筋周膜」という。
「筋上膜」も、束ねた「筋周膜」も解剖実習では、それがあることで「筋肉の走行」や「筋肉の繊維の量」が一目でわかるので「この筋肉は大きい」「小さい」って感じることができる。
また、「筋上膜」「筋周膜」があることで、ひとつひとつの筋肉がきれいに包まれているので、起始から停止部分までを難無く容易に取り出せるのだ。「こんな形をしているんだ」と「想像通りだった」などと感じられる。
そのまた細かい繊維のその中には「筋細胞」「筋原細胞」がありその膜である「筋内膜」「筋細胞膜」、そこから細かい先の「アクチンフィラメント」「ミオシンフィラメント」までは目視では「膜」も判別できない。この細かい部分にも「膜」は存在しているが肉眼では難しい。

筋肉を覆い、個別に筋肉を取り出す時に筋肉を覆っているのが「筋上膜」。この膜が日本では「筋膜」というピンポイントで取り上げられていることが多い。薄いがしっかりと筋肉を覆っている。
これをメスできれいに取ると、筋肉の繊維が明確になる。
筋肉ひとつひとつを覆うその膜が、よくいわれる「筋膜」と記載されている。
これは、腱を包む「腱膜」、靭帯、骨を包む「骨膜」。これらは全て「ひとつづき」の筋膜で覆われる。密着度が高い状態で連続しているが、メスで剥がれないわけではなく、鶏肉ではなく、魚の皮のピッタリした密着レベルである。
つまりこれが、となりとなりと「連携」されているということ。
この連携が注目され「筋膜リリース」に展開している。
色々な筋膜の文献にも「ひとつづき筋膜」の状態での写真が掲載されている。
中枢神経系を包む「髄膜」、内臓や胸腔の周囲の「胸膜」、腹腔の周囲の「腹膜」。
これも深筋膜である。

「深筋膜」でも、腱膜などの繊維の走行と「胸腰筋膜」の繊維の状態には少し違いがある。そのひとつが「層」。

「胸腰筋膜」の層は「硬い」。この層は、厚さと張りの強さがある。テニスのガットの張りのようにパリンと張っている状態ではない。常にパリンと張っているわけではないが、いざという時に対応できる緩み、つまり、四方八方に引っ張られても破れない柔軟さを持った張りである。
その強度は、進化の過程で「強度が欲しい部分では、どんどん強靭になる厚みを持った層の膜になる」ときいている。
運動力学では、「強度は柔軟さが少しある方が筋の効力を発揮しやすい」。何故なら、筋肉と連携したその柔軟性は身体を大きく動かせる能力にも通じるからだ。お相撲さんは、普段は柔らかい筋肉をしているが、力を発揮しようとした状態では、パンっと張りを持つ。(ツンツンすると面白い)

この「胸腰筋膜」の層を、メスをで少しずつ剥がしていくと「繊維」が肉眼で充分確認できる。
層と言っても、うす〜くうす〜くメスで剥がしていくが、きれいに1枚1枚には剥がれない。
この層は、「3層」といってもきれいには分離できない(私には)。
解剖の最初の段階では、皮膚と一体化したように脊柱にしがみついた繊維をメスの力で少しだけ引っ張りは上げられる。他の部分の皮膚は、伸縮する感覚はあるが、この「胸腰筋膜」の表皮からの硬さは、皮膚の伸縮の感覚とは全く違う伸縮感覚である。
しかし、薄く削ぐように剥がした筋膜を、横から覗き込む。そこから見えるランダムな繊維は、人口ではない人間の美しい白い空間である。
白くて透けて見える細い無数の繊維はあらゆる方向性と長さが折り重なり、それでいて片寄ってはいない。

その張りの強さを持った「胸腰筋膜」は、成長期の過程で日常やスポーツなどで補強を重ねていった部分である。
その強靭度は、骨盤である左右の腸骨陵にしっかりと付着している状態で、胴体と下肢との連動に大きく関わっている。広範囲にわたる腸骨陵への密着範囲と繊維の方向性は、片方の「胸腰筋膜」を上方へ引っ張り上げると片足を引いて操作できるほどの「支持性」を持つ。
だから、腸骨陵への付着範囲は計算されているのだと感じるし、「胸腰筋膜」はこの形なんだと納得する。

今回、「胸腰筋膜」が、あの白い部分だけではなく、
前鋸筋の内側を通過(!)し、背部の棘突起に付着、肋骨角に付着、そして頸筋まで膜を伸ばす。

腰部は3層。一番内部では大腰筋と腰椎の前面、横隔膜の際まで。
つまり、「胸腰筋膜」は、前鋸筋、広背筋、外・内腹斜筋、腹横筋、脊柱起立筋と「筋膜」での「連携」が分かっている。
「前鋸筋」は、胸郭と肩甲骨の内側を連結している。
「広背筋」は、脊柱・仙骨・腸骨陵から肩甲骨の下角に付着、上腕骨の小結節陵に付着することによって上肢帯(肩甲骨・鎖骨)と上肢全体をつなげ、「外・内腹斜筋」、「腹横筋」は体幹の前面と体側、そして骨盤に付着。
そして、「脊柱起立筋」は背部の細かい最深層脊柱から胸郭そして、「頭蓋骨」にまで。
「脊柱起立筋」の「最長筋」だけを取り上げて見ても、骨盤部分の仙骨を覆い隠すあの脅威的な筋肉の厚みと深さと繊維群は、ボーリングほどの重さを持つという5キロの頭部を背筋で位置を維持し続けることができる筋力を持つ。
その筋肉を覆って連携させる「胸腰筋膜」は、やはり「強靭」でなければいけないし、あの薄さで、あの繊維でと考えるとかなり「高機能」だ。
しかし、受精してから280日の成長過程で、あの細胞が「膜」の内側でどんどん成長して「膜」が広がってと考えると「すごい!」の一言である。

忘れかかっていました。大切な「下後鋸筋」脊柱のT11からL2までの棘突起から肋骨の9から11もしくは12までに付着する。背面から見たらVの字が4つ。あの、うっすーい!「下後鋸筋」の下にはガツンとたっぷり「脊柱起立筋」の繊維が見えています。ビニールテープのように透けていてツヤがある。
薄い、薄いと目立っていずにファンも少ない「下後鋸筋」。筋肉の張りは、目立って大きい「胸腰筋膜」ではなく、「常にピンと張ったまま」の筋肉も重要です。内側には、腎臓という寿命を司る重要な内臓まで守っています。
これも「胸腰筋膜」部隊の一員です。

 

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