3年前に解剖実習をやっていなかったら、もっと筋肉のイメージに対して鈍かったはず。
でも実習後に、その苦手意識はなくなった。
この仕事を始めて9年になるが、身体の細いクライアントの施術は本当に苦手だった。出来る事なら担当したくない。なぜなら何が起こるか分からないくらい怖いからだ。(悪気はないので勘違いしないでほしい)
病後のように痩せているクライアントの背面の筋肉は本当に薄くて「手掌圧迫」するのさえ遠慮気味になるものだから、こちらの身体がガチガチに緊張する。 ホント折れるのではないかと思う。
でもクライアントは「もっと強く、もっと強く」という。でも明らかに骨を感じる。
2012年の5月に初めて「人体解剖」を行った。その時は3献体。
・トーマスさん(仮名)94歳:老人性痩せ型、 老衰
・ジャネットさん(仮名)65歳:中年太り
・ボブソンさん(仮名)60歳:巨体、元ポリスマン、腸に手術痕あり。
さて先日、病的なのか、筋トレをしていないダイエットの影響によるものなのか分からないが、異常に痩せた方がご来店された。うつ伏せになった時から「仙骨」が山なりに浮き上がっている。上角のあたりから軽擦をして始めようとした時に脊柱、肩甲骨も浮き上がっていたので一瞬構えるも「トーマスさん」の身体を想い出した。
老人特有の痩せた身体でいらっしゃったが、それなりに薄くとも筋肉があり、後面側もかなり「指圧」させてもらった。 その時の事を想い出してみると不思議と「激痩せ」のクライアントは怖くなかった。むしろ、こんな言い方はどうかと思うが、筋肉の付着部がしっかりわかる身体だった。
先ずは足元からスタートする、500mlのペットボトルの太さのようだが、自分の足をしっかり開きベッドに固定すれば安定してしっかり体重移動で加減をつけられる。
大腿部はちょっと注意が必要なくらい「スジばって」いたので、手掌全体で圧迫するように気を付けた(手根圧だけにならないように)
臀部に関しては、腸骨内側と、山なりの仙骨に沿って母指を入れていけば問題ない。
腰部は腰方形筋を感じる事ができたと思う。
脊柱のキワは、キワに沿って手力にならないように気を付ければ大丈夫。
私がイメージしたのは、トーマスさんと骨格模型だ(これは失礼な言い方に取らないでほしい)
この仕事をしていると、病後の方にも会う。「そのいうクライアントに対してどういう施術をしたらいいのか引き出しが増えた。」という事だ。
もちろんまだまだ未熟な私だがやっぱり解剖実習に行って良かったと思う。
記事担当:小池