昨日の続き
肩板疎部。前回、
上肩甲上腕靭帯の上に
上部肩甲関節包があり、その上に
烏口上腕靭帯がある。
肩板疎部には烏口上腕靭帯が通過している。
烏口上腕靭帯の両脇には、大結節に付着する棘上筋、小結節に付着する肩甲下筋がある。
前方の肩の関節包には、靭帯が存在するが後方の関節包には靭帯がない。
後方の関節包は、つるんとした骨頭が見える。
解剖の先生によると後方の関節包に靭帯がないのは
肩甲骨の[うす]蓋が前側に向かって傾斜しており、[うす]蓋の後側は抑えが前方よりしっかりしているからとのこと。
自然体の立位。側方に上肢を挙げていく外転、上肢を自分の正面から背中側に移動させていくのを外旋という(イメージ)。
上肢を横に挙げていくに従い、徐々に弛緩していくのが例の棘上筋である。弛緩と一口で言ったが此処ではゴムのようにキレイに縮んで収納される訳ではなく、繊維の束が小さい隙間にクシャクシャっとたわむ状態になる。
隣では、烏口上腕靭帯が軽く緩みを持っている。
このたわみすし詰め状態の空間に余裕と磨耗があるのなら普通。磨耗して硬くなり変化し、潤滑剤が減ってきた状態が問題。
視覚で見える範囲が少ない棘上筋は解剖実習の時に丸くポテッと量が多く太い。解剖実習でこの棘上筋を取り出した時のは驚くだろう。その棘上筋が肩甲棘の上の棘上窩に横たわり少しだけ細くなりながら、肩甲骨の肩峰の下の狭いトンネルをくぐり上腕骨大結節に付着する。端までしっかり付着部分は蜜。だから縮みにくい。
解剖実習で、この空間での棘上筋は色が変化している状態は見受けらないが弾力かハンパない。
前方の台で、解剖のドクターが模範の解剖をして下さいます。説明を入れながらの解剖は、自分達で行う解剖にまた更に広がりをもたせてくれる。メスを使うのに必死になりやすいが、それでも感じるものはたくさんある。
実際の人体に驚き、人間を知る。
そんな、神聖な仕事に取り組んでいるのだなと実感する。

コラム:講師 木原富士子