前回の続きとして読んでほしい。
前回「解剖実習で実際に見る「神経叢」や「靭帯」などの組織を考察」
https://kaiboac.com/kaibo/2853/
腰神経。神経は、それぞれの椎体の横下からトンネルを通過して出てくる。
太さは腰だというのに驚くくらいに太さがない。しかし、脊柱の神経の配列は、素晴らしく整然としている。
L1とL2から出た神経が合わさりやや倍の太さになり、またその神経が分岐。その分岐した神経のひとつが次の椎体から出てきました神経に合流、でまた、分岐する。これが「叢」。
神経そのものはスジっぽい一本に見える。高速道路のように、いくつものラインがこの中にあるのかと思うと人間のDNAの正確性って凄いことなんだなと毎回感じる・・。
L1から出て分岐した神経は、ナナメ横下にある腰方形筋にもぐり込む。腰方形筋は、腸骨稜と第2から第4の腰椎の肋骨突起から、第12肋骨と第1、第2、第3の腰椎の肋骨突起に停止している。神経の入り込んだ箇所はL1のナナメちょっと下の位置でピンと張った硬さをもっている筋肉の間に前方方向に向かって入る。
腰神経叢の最初の分岐に腸骨下腹神経がある。T12からL1の合流からまた分岐したこの神経は、腹横筋、内・外腹斜にむかい、腹直筋など腹筋の下部に枝を伸ばす。
まさに文字通り、腸骨下腹神経。腰方形筋の外側下に枝は向かう。
L1、L2からの枝から陰部大腿神経が分岐する。この枝は、大腰筋を貫いてから枝分かれをする神経。この神経の分岐した大腿側の枝は、鼡ケイ靭帯の下の筋裂孔を通り大腿部の皮膚の前面の知覚を担う。
L4、L5付近になると大腿神経は合流により、やや太さが出てくる。大腿神経は、L2~L4から起こるのでもっと上位からきており、腸腰筋のふたつの筋肉の間を通過しているが、そのまま血管裂孔を通過して太腿の運動に関わる神経と大腿前面の知覚として細かく枝分かれしていく。
人間は、だいたい似たり寄ったりだから東洋医学のツボも正確率がとても高い。
この神経経路は、きれいに観察できる。
問題は脊柱寄りの筋肉の分厚さがハンパじゃなくて、解剖の先生の指導が必要なのである。
記事担当:講師 富士子
参考写真:アトラス Visible Body