想像していこう。
骨盤と脊柱。上前腸骨棘から恥骨まで「鼠径靭帯」がつながっている。これは左右合わせると器に見える。恥骨の骨の正中に近い部分から「薄筋」「長内転筋」「恥骨筋」がぶら下がるように連なる。
正面からみるとその大腿内側3筋の裏側に見え隠れしていて膝に近い方。その筋肉が「大内転筋」。坐骨部分では他の筋肉より多めに筋が付着している。その反対側部分は上から下の方まで大きく幅をとって大腿骨に付着している。尚且つ、大腿内側を後面やや内側の柱として両手をひろげて骨盤を支えている。「大内転筋」の隣には大好きな「半腱半膜様筋」があり3つにズラして分けたように内面に付着している。
時々人間が「4本足」の姿を考える。なぜなら、たくさんの筋肉達は、「2本足」になることで「起始・停止」部分が「曲線をもった筋肉の層」によってかなり複雑にみえてしまう。だが「4本足」を想像するとその理解しにくい「層」の起始・停止の左右がキチンと見える。他にも「4本足」になると「腸腰筋」だってあんなに曲線にならないですむ・・・かもしれない。そう考えると殿部の「外旋筋群」だって「2本足」なら真横に「大転子」方向に手を伸ばしているが「4本足」なら「仙骨」方向から「大転子」まで「上から下!」へ降ろしているだけだ。役立っている意味が実感できない双子ちゃんだって梨状筋を支えるのに発達するかもしれない。
きゃー!そう考えると先ほどの私のタルタル「長内転筋」もカーブを描いていますが、あれが機能するのか!組立式のパイプの長机をガシャンガシャンと組み立てた時のつっぱったあの斜め具合が直角を支えるあのはまった感じになる。ということは、成長期の筋トレで「4つ足」で競争したり、「ぞうきんがけ」をすることがどんなにどんなにどんなに大切か理解できる(でしょ)。左右、対角線、重心、利き腕などなど体幹から伸びる四肢を安定もさせる。以前に、ハワイの解剖の先生である田村先生が「歩き始める前のハイハイの状態が大切」っておっしゃってた。成長過程をとばすのも喜んじゃいられない。
成長期にどんなにテクニックを磨いて数々の勝利を手にしていたとしても、高校生くらいの年齢からはしっかりとその差は逆転する。それは12年間、身に染みて経験している。こんな課題が治療家でトレーナー仲間内での会話の盛り上がりはあっても、それが全国のスポーツ指導の現場に届いて浸透するのは日本では少し難しい。
そうそう、どうしてもわからないのが「小腰筋」。解剖実習で40パーセントの確率で「見つける」という目的で喜んでいる場合でもないのだ(笑)。起始部が第1腰椎で停止部が恥骨上枝だよ。で、で、あの小ささ。でもね、猫とか犬には大事な「歩行筋」なんだって!面白いことにその参考書では「二足歩行人類においては、小腰筋は水平ルンバを踊る場合を除いて、あまり重要性のない筋である」って記載されている・・・。今日の思いだし笑いのネタはこれだな。・・・「水平ルンバ」ってどんなだろう。
記事担当:講師 富士子
参考写真:ボディナビゲーション