さて、うつ伏せの状態の方の背部をみる。
うつ伏せの状態での背部は、胸板の厚い男性や胸の大きい女性の場合に脊柱上位の盛り上がりが目立つかもしれない。もしかしたら、胸の下にあるクッションのせいかもしれない。顔をうずめた枕とのフィット感がなくてあごが引き気味で頚部からも盛り上がりがあるかもしれない。そんないろいろなケースを加味した上でチェックする。もし治療という観点が必要ならば立位でのチェックや骨盤の傾き具合のチェックが必須となる。おもしろいことに筋肉やわやわ具合とストレッチでの可動範囲で一致しない場合がある。「柔らかい」と思っていてもストレッチで肩の回旋にひっかかりがあったり、前屈ができなかったり、アキレス腱の伸長具合が片方だけ硬さがでていたり、足首のくるくる回旋にまわらない方向があったり。・・・きりがない。日常の支障がなければ手を出す必要のない事も多いが、私としては全身バランスをゆっくり(?)整えることも嫌いじゃない。(好き嫌いの問題ではないね(苦笑))
本題にもどります。脊柱の筋肉は予想以上に細かい。以前に骨格模型の嵐くんにテーピングテープを筋肉にみたてて貼っていった。・・・根気のない私はあまりにも細かい筋肉たちに閉口し「全部は無理!」といって断念した(超笑)。
脊柱起立筋のくくりでは「棘筋」「最長筋」「腸肋筋」。その他に「多裂筋」と「回旋筋」「半棘筋」。後ろに飛び出ている棘突起と左右それぞれの横突起の間に細かく筋肉がまずある。これを考えてもあのスペースにこれだけ入っているのかと思う。深部(?)からジョンいや順に「回旋筋」が1~2椎骨間にまたいでつなげている。その上に「多裂筋」が2~4椎骨間をまたいでいる。上側の棘突起から下の横突起にむかってである。「多裂筋」は腰部の部分ではふくよかになり仙骨の真上(真後ろ)で盛り上がりをみせる。でその上に脊柱上位では「半棘筋」。頸椎、胸椎、頭蓋骨。横突起間をつなぎながら頭蓋骨の下項線の上までいっている。停止部が後頭部の方なので頭と首を後ろに引く「伸展」をする。後頚部の首の盛り上がりはこの「半棘筋」の形がしっかりでている。
それが棘突起と横突起の間に入っているはずだが、笑えないことに筋肉が張って盛り上がっていると範囲外にむっくりでている。その上にまだある。「棘筋」がその名の通り棘突起から棘突起へと半楕円を描いている。一応これも棘突起から棘突起へと後面ではなく横から横なのでまた盛り上がるとすごい。「項靱帯」にも付着していることを考える。背部から脊柱の突起が触れられない人は上に脂肪層がしっかりあるのとこの左右の「棘筋」がつながっていないけどむっくりしている?「棘筋」の橋渡しは面白い。「胸棘筋」に関しては、上位胸椎から上位腰椎までの範囲を半楕円のラインで結ぶ。特に胸椎の半分下部分では短い距離での橋渡しなので補強は完璧。肩甲骨の下角近くの体幹の脊柱部分が一番盛り上がってみえる原因のひとつがこれだ。PC作業を長時間していると男子はしっかり盛り上がるね~。・・・・どこまでいったかな・・・
脊柱の「棘突起」に付着しているのが「棘筋」で今度は「横突起」。「横突起」に付着しているのが「最長筋」。またこれが「棘突起」についていないで「横突起」に付いていての橋渡しなのに!しっかり脊柱の「棘筋」におおいかぶさる分厚さ。仙骨までしっかりあって分厚く背筋になっている。3種に小分けされていて「頭最長筋」は側頭骨の「乳様突起」に上位胸椎から触手を伸ばしている(植物みたい)。で、で、脊柱起立筋の「腸肋筋」がその名の通り、こ・れ・が腸骨と仙骨から頸椎まで脊柱の第2ラインをとっているように肋骨間を橋渡ししている。なぜか第4と第5腰椎だけにはついていない~~。「最長筋」に任せたな!
背中から腰かけて上にかぶさっている筋肉たちは別として解剖実習では、この筋肉たちをとり除かないと「脊髄」をみる作業には移れない。(良く言えば)大胆おおざっぱな私にとってのこの細かい作業では「う~」と唸って泣きがはいる。「・・・脊髄の為ならえ~んやこ~ら!」・・・唄っていても皆さん許してね。 ブラック富士子&ぶきっちょ富士子
記事担当:講師 富士子
(参考写真:富士子講師 力作 回旋筋群、多裂筋風テーピング)