頸の調子悪さの理由を考えると切りがない。カットしよう。
では、私の好きな「乳様突起」の話をしよう(大笑、なんなんだ)。乳様突起は耳たぶの後ろの隆起した骨である。側頭骨の一部である乳様突起周囲は何かと緊張感が強い部分である。耳や血流や平衡感覚の問題を含めると盛りだくさん。つまり、ここをきちんと理解してほぐせる技術。デリケートな柔らかさを持つ頸の部分を違和感なく痛くさせずに整える。
次に乳様突起周辺をみてみよう。
乳様突起に何筋がついているか考えてみた。有名なのが「胸鎖乳突筋」。さてそれ以外はなんだろう。
「頭最長筋」(起始:第1~5胸椎横突起、停止:乳様突起。脊髄神経)
頭の位置を保ち姿勢を保つ。もちろん側屈に対しての対応もする。短い距離からの引いているのではなく胸椎の方からヒモを引いたように伸ばしている。脊柱起立筋の3つの内の一つであるがこの「最長筋」自体も3本・・3パターン・・が一連となりそのしっかりした手綱の先を頭部の乳様突起に先を伸ばす。真後ろからではなく曲線をもって頭部の前に回りこむ(胸椎1番から乳様突起までのライン)。そこからまた胸鎖乳突筋が前斜めにラインをとり体幹中央の胸骨へとつながる。左右の胸鎖乳突筋のⅤ字バランスは頭部の前側の柱となっている。
「頭板状筋」(起始:項靱帯下位2分の1、第7~4頸椎棘突起、停止:乳様突起から上項線の外側。頸椎神経)
胸鎖乳突筋の下の層で幅広である。頸の半分から下側がしっかり太かったり張っているときはこの筋肉も張っている。頭部の支えとしてはヒモ状では物足りない。頭部の付着部も頸部の付着部も幅をもつ。頸の後ろ面の左右の盛り上がりをもつ頭半棘筋の厚みもあれば四足になったとしても頭部を動物のように自由に動かせる。
「胸鎖乳突筋」(起始:胸骨柄の上、鎖骨内側3分の1、停止:乳様突起、後頭骨の上項線外側部。副神経、頸神経叢)
一腹だと思ったら二腹だったとよく思われるこの筋肉。起始が胸骨の方で乳様突起の方が停止。ネコのような頭部の動きは停止部分を自由に動かすのに機能的だ。
「顎二腹筋」(起始:乳様突起、停止:下顎の下縁。前腹:三叉神経、後腹:顔面神経)
(顎二腹筋に関しては面白いのでまた今度)
上の3つは乳様突起が停止なので引かれる方である。顎二腹筋は起始。
乳様突起は側頭骨の一部分。
続きはまた明日。
記事担当:講師 富士子
(参考写真:首のこりをほぐして万病を治す! 松井孝嘉 著)