股関節の中の状態は見えない。だが、日常の施術系のお仕事では他動でのストレッチやマッサージ時の体勢だけでも、「あれ?」って感じる時があると思う。5月の解剖実習を前に、筋肉神経などなどの他にも知りたい事が富士山程ある。(自分の名前にかけたのか?w by編集長) その中のひとつが「股関節」の構造の不思議。人間がたくさんいるように、一つのパターンで片付けられないのではないだろうかとかね。筋肉のせいばかりには出来ないかもしれない。だから、前回解剖の先生にお聞きした講義の基本として今日はこれを取り上げる。
骨盤帯は「股関節」「仙腸関節」「恥骨結合」の3つの関節で構成される。仙腸関節と恥骨結合は自由に動く関節ではない。しかし、股関節はその反対である。自由に動きを持つためか一度ケガをすると長引きやすい。
まず股関節の可動範囲を整理しよう。全てが背を丸めることなく行うことや他動での可動域の範囲を測るものなので自分の筋の力も借りないということが基本である。
「外転」立位で自分の真横に下肢を上げていく。40~50°
「内転」外転の反対方向で下肢を反対下肢の前で交差させる。20°
「屈曲」自分の膝を胸につくように上げていく。135°
「伸展」うつ伏せ(後ろ方向に動く範囲)。仰向け(交差の範囲)20~30°
「内旋」
「外旋」
「屈曲・内転」足を組む姿勢
「屈曲・外転・外旋」縫工筋の仕立て屋姿勢
正確に数字を測定するほどではないがなんとなく知ったくらいでいいと考えている(一般向け)。
「屈曲」「伸展」
注意点。そのまんま仰向けでの状態では骨盤の前弯がある。腰の下に手のひらが入るだろう。あれは腰が前弯しているからだ。さて、仰向けで膝を曲げて上げていくとすぐに骨盤の前弯が消失する。その角度からスタートでそれを0として下肢を上げていった範囲が股関節の本当の角度である。
(この件に関してはネタが古ければ訂正します。記憶違いかもしれないし)
仰向けの状態で、腰とベットの隙間に自分の掌をいれたまま、相手の下肢を持ち上げていく。自分の掌を相手の腰が圧迫する。ここからスタート。この場合正常なら膝を曲げた状態で自分の胸や腹に膝がつく。
もしこれが下肢を伸ばした状態で行い、下肢があまり上がらないとなれば、どこが硬いか考えよう。本人はミシミシきている部分がどこかで判別していることでしょう。そしてまた、よくあることなのだが、片方の下肢の膝を抱えた状態の時に、反対側の下肢が持ち上がってしまった場合は股関節から下腿部にかけての範囲に硬い筋肉があるということだ。そして同時に上半身にもその硬さを補う反応が出る。硬い人ほど背中を持ち上げ胸に足をつけようと画策する。画策というより必至「代償」か無意識の「代償」だ。
要するに「股関節の硬い部分を補うのに腰や骨盤や背面が動くことで「代償」することがある」と意味だ。
日常の治療では測定でなければ(数字を出すのでなければ)じぶんの裁量で調整するだけで充分な時も多い。しかし、ストレッチを施す必要がある場合などはえてしてなくても感じ取れるものであり、注意するとか、ほぐすところを決められる。そして、過剰か知ることができる。
「内旋」「外旋」
仰向けで足先を外側に倒すのを「外旋」内側に倒すのを「内旋」という。
正確には股関節の屈曲位と伸展位での2パターンの測定が必要である。なぜなら、どちらかが出来てもパターンを変えると(硬くて)出来ないことが判明するからだ。1パターンめは、まず人間が歩行する場合は下肢が伸展していると考えると伸展時の角度をチェックしたい。
もう1パターンは座位での測定。座位では大腿部を固定した状態で行う。かかとがベットにつかない高さで両下腿を下す(足ぶらぶら)。座位ということは股関節が屈曲しているという状態。脛骨腓骨を軸に左右に振り、その角度を測る。内側「内旋」外側「外旋」。通常の場合「大腿骨の長軸と内踝・外顆に対して頸部角度は15°の前捻り」は基本にある。前捻りに「過剰」がだった場合の歩き方をイメージでいうと「ガニマタ」かな(赤ちゃんから小児までの年齢範囲では異常とはいわない)
「外転」
仰向けで下肢を水平方向外側にスライドさせる。限界に近い時に骨盤が動き始めるのだが、それは容易に感じ取れる。仰向け状態でのキオツケ(きょうつけ?)(立たされ?)姿勢での両足の内果間の距離も「外転」としての評価となる。
今日はこれまで!
記事担当:講師 富士子
(写真:富士子 (笑))