ひとやすみコラム
「スーパープレゼンテーション」という番組を知っているだろうか。たくさんの方々のプレゼンが聞ける。
先日のゲストが山中伸哉教授。「ヒトⅰPS細胞」を発見された方である。
研究者にとって大切なのは、研究が50%、研究の内容を伝えることが50%というくらい「理解できる形で伝えることは大切」だという。
ポイントを少し列記してみた。
メッセージが明確である。
自分の弱点に負けずにメッセージを送る
10人のうち9人が理解するプレゼンは成功といえる。(!!!!!)
メッセージは何なのか、それをどう伝えるかで格好つけない。
自分の弱さも正直に話せる
飾らない
堂々とする
ユーモアを交える
パーフェクトにやってのけることが目標じゃないスピーチにする
どうやって伝えるかを考える
・・・・で、ショックをうけた内容がこちら。
「難しい内容で、聴衆が専門家でなくてもちゃんと話せば伝わる。伝わらないなら自分のミス。それは、かなりの準備をもって臨むべき。」
ギャ~!! やはりそうくるか!
解っているじゃないか。伝える自分の言葉を変えられないのは自分のせいである。
複雑な部分や筋肉の状態を説明するのに、いつも言葉が見つからない。専門の方と話す機会では、あまりにも話の通じる速さに快感さえ感じていた。そんな分かりきっていることである。
でも、違うのだよ。違う!違う!
自分だけが楽しんでいる場合ではない。
考えろ、考えろ、何度でも考えろ。
伝えるのをあきらめるな
私らしく!私らしく!
出産ついでに 「胎児」についてもう少し知っておきましょう。
人間の不思議を感じます。
胎児は子宮の中の羊水で満たされた羊膜腔の中にいます。羊水の温度38℃くらい。少々高めの温度です。そこで約40週の280日間を過ごすのです。
胎内の胎児は、胎盤を通じて母体とつながっています。
胎児には、肺、肝臓、消化器官などが備わっていますが、ほとんど使用しません。それは、胎盤を通じて母親とつながっていて、母親の血液を介しての栄養摂取、老廃物排出、解毒などが行われているので大丈夫なのです。
まず、肺を使わないということは、通常の心臓(右心室)から肺へのルートは使用されません。肺はしぼんだ状態です。
この部分は、右心室から肺へ曲がらず、真っ直ぐ「ボタロー管(動脈管)」という生後10~15時間で自然閉鎖、約3週間で完全閉鎖の管を通りそのまま「腹大動脈」へ向かいます。
肝臓でも「アランチウス管(静脈管)」が肝臓内の短絡路を通り右心房へ入るのです。
心臓では右心房から左心房への抜け穴「卵円孔」があります。これは肺呼吸が始まったと同時に閉じる孔です。
母親の胎盤から送られてきた血を胎盤血といいます。
胎盤血の流れを追ってみましょう。
「胎盤血」
↓
「臍静脈」・・本来ならこのルートから肝臓にいきます
↓
「アランチウス管」・・・肝臓内を素通りする短絡路(肝臓使わない)
↓
「下大静脈」
↓
「右心房」→「右心室」→「ボタロー管」→「腹大動脈」合流
↓
「卵円孔」通過
↓
「左心房」
↓
「左心室」
↓
「上行大動脈」
↓
「大動脈弓」
↓
「腹大動脈」
↓
「内腸骨動脈」・・左右の内腸骨動脈は二酸化炭素や老廃物を胎盤に送ります。
↓ ここは動静脈の混合血が流れています。
「臍動脈」
↓
「胎盤」
血液型の違う子供がお腹で生きていることに関しては、以前から人間の不思議さを感じていました。母と胎児の血液の交換自体がないので大丈夫だといいます。しかし、細かい部分での不適合に関しては医学が進んでいるとはいえ、細心の注意が必要な時もあることをお忘れなく。
解剖実習室では、同時刻に日本のドクターを始めたくさんの方が技術と知識を学んでいます。彼らのレベルは果てしなく雲の上です。
でも、私達だって、いつもいつも必至なのですよ。
記事担当:講師 富士子