骨盤の後日談。
出産は「小さく産んで大きく育てる」と昔から云われている。
小さい頭部分があの骨盤の出口幅を通るかの問題。自分の体重を増やし過ぎないということは、胎児自体も最適な大きさになることが必要ということだ。
胎児がお腹にいる姿勢は、仙骨は外転状態(後ろに倒れている)。
出産時。腹圧、リズムを図る。最後に産道を出る一瞬の時間や呼吸のタイミングで産道でとどまる一瞬、脳を圧迫している時間ができる。これが小児麻痺が発症するかの可能性をあげてしまうらしい。その難行である産道を通る瞬間に胎児の頭蓋骨のまだ柔らかい8枚でうまく脳を守り軽く変形しながらすっと通れば問題はない。(産まれたての子供って頭の形が少し変)呼吸による腹圧と母パワーの圧によって、骨盤は揺らされ広がる腹圧をかけられながらも壊れない。骨盤は強靭である。
骨盤の「内転」という動きがある。仙骨底が前の下方に傾く。同時に腸骨も前の下方へ傾く。これは骨盤内の筋がおへそを内下方へと引き寄せるような筋肉の動きである。
外転から内転へ。
出産後、骨盤周囲がゆるゆる状態から最適な日常生活に復活するには何をする。
「腹筋」
腹筋類の刺激で腹部前側と脇腹部分に壁をつくる。腹直筋、腹斜筋、腹横筋。
大股で片足一歩前、でもとにもどす。もしくは、階段を一段ぬかしながら上る。これは、脊柱のすぐ前側から骨盤内、そして大腿骨までのびる腸腰筋を強くする。
「仙骨」「腰」
骨盤後面の仙骨部分から腰の部分。背部と切っても切れない動きが必要かとは思う。ただ、妊婦の時の筋肉の張りはまやかしなので、一からしっかり整えていこう。
まずは、全身の筋力が低下しているので、出産後は、腰のご機嫌を伺いながら段階を得る。
全身のバランスと子供という荷物が増えたことで、腰部分で抱える動作が増えてくる。これは筋肉を硬くさせる。と考えると、筋トレを特別するというよりは、他の部分を鍛える時にストレッチでほぐす方を優先したい。
「股関節」「殿部」「大腿から膝」
さて、妊娠時は体幹の捻りができなかった。だから、股関節はしっかり後方に伸ばさずに歩いていた(股関節が硬くなっていた)。それは、ウォーキングや軽いジョギングなどで伸縮や振動で刺激する。伸縮や振動は、筋肉を緩めるものでもある。緩めながらも、殿部なども含めた後面も強くする。
注意点は、緩んでいる大腿部は、膝前面の安定がまだ足りない。だから行進のように攻撃的に歩くと膝への跳ね返り圧もおこり痛みがでる。段階をもって柔らかくなめらかにいきたい。
「下腿」
足首もカカトからつま先へきれいにつきながら歩行することで、膝裏から下腿部分の筋肉の伸び縮みがしっかりできる。むくみ対策にもなる。
「脊柱」
上半身にいってみよう。妊婦時に体幹の捻りができないと、背部脊柱の回旋するための筋肉が硬くなったままである。回旋筋群、多裂筋だけでなく、脊柱起立筋群もきっと棒状だろう。ちなみに、ラジオ体操の体幹をダイナミックにぐるりと回す動きは大事。真剣にやるときっとキツイ。
「背部」「肩」
僧帽筋や三角筋や上肢に関しては、子供を抱えるということは荷物の持ち歩きなので、筋トレにもなるが、おろせない抱える辛さを考えると、普段はしない動きをいれないと固まりがちになる。
「前胸」
前胸部分は、母乳のために特例期間に入る。母乳を作り出す循環のためにも、背部と同時進行でストレス解消もしたい。
≪おまけ①≫
私の横に布団をひくムスメ。今でも私は、子供のいる方向をむくクセがある。
これはどの親にも同じことである。同じ側に子供がいると何が起こるか・・・。その決まったクセは母の「頚」の疲れをうむ。「肩」の違和感をうむ。だから、並ぶなら「時々逆に寝る」ことをすすめる。右利きで右を使いたい。ベットの向きで決まった方向ばかりでは、後々につらくでる。
≪おまけ②≫
座布団を使おう。母乳をあげるとき、子供を座布団にのせたまま母乳をあげる。縦に抱えゲップをさせ、また寝かせしばらくすると、その座布団のまま寝かせる。母は忙しい。態勢の変化で何回も起きられたらたまらない。何回かトライしながらも取り組む。最終は、バスタオルを丸め自分の分身を子供にくっつけておく。子供の感覚と勝負である。・・だいぶ楽しんだ知恵比べである。
男女問わず、骨盤のあの不格好な形は周囲を常に安定させない。その骨盤角度で全身も変化する。
解剖実習では、正しく筋肉を把握することが一番大切とする。
なぜなら、筋肉の知識の上から、その人の背景・特徴を噛み合わせることで正しい判断ができると考えているから。
・・・そんな私もまだまだ発展途上である。
記事担当:講師 富士子