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2015年2月18日更新

股関節前面をクローズアップ「大腿三角」

年齢によって、生活パターンによって、筋肉の張り・質は全然違う。何もしなければ、それ相応の変化をしながら退行をたどる。また、薬の服用中や糖尿などの持病は、身体の本質を変化させる。病気や特徴は、つかみ具合というか触り具合が全然違うのだ。
さて、この季節の変わり目。身体の芯の「冷え」「疲労」を見て見ぬふりをする。そんな頑張っている身体に脅威的な変化をさせるのが、「温泉」か「銭湯」。湯に入った瞬間に温度の下がる家風呂では効果薄。しかも、湯につかっている時間は連続しても20分くらいで充分。私達にとっては、どんなにいいことでも、過剰になれば「交感神経」が前に出られちゃマイナスになる。しかし、銭湯から出てきたじいちゃんばあちゃんは、交感神経バリバリがちょうど良く、ハツラツしている。

今日の注意点をひとつ。お客様のお身体に関して、大体において背腹臥位がたぶん多い。しかし、骨格の問題などに関しては、非荷重で見逃すものも荷重で判明することがある。また、どんな体勢でも左右差をみることは最低限必要である。利腕からクセ、特徴を掴み、お話のタネにもできる。
では、本題に入ろう。しつこく、「股関節」ネタが続く(あきらめてくれ(笑))

皆さん、股関節の後面部分は気になるが意外と前面は流しやすい。主訴となりにくいのか、ほぐし方がわからないのか、筋肉が硬いから気持ちよさを出すのが難しいのか。
度々、股関節前面の頑張りを訴えてきた私としましては、もうひと押ししておこうかなという年齢特融のしつこさを出すことにした。

そこで、股関節前面をクローズアップ!

後面の「坐骨神経」に負けないものが前面にはある。「大腿動脈」「鼡径リンパ節」。あれ?役不足?
さて、名誉復活にかけて吠えようではないか!
「大腿動脈」解剖実習では、腹筋膜折り返してできた鼡径靱帯(長い名前だ)のほぼ中央の下を通過している。
タイ式では、ここに体重をかけて血を止めてから一気に放出という不変な技術がある。「血が流れる」ということを実感させやすい技術だ。鍼は血管に刺さらない。なぜなら、つるっと逃げられるからだ。しかし、この太さで、動きようがないくらいの直径をもち、かえってこちらが躊躇する気分になる(あえて狙う意味もないが)。
実はそれだけに動脈の拍動の触診は簡単である。確かめて欲しい。
動脈とセットされるのが静脈。「大腿静脈」は大腿動脈の内側にある。「大腿神経」は外側にあるが通常は触診できない。
ここで、「大腿三角」というのを改めて触診してほしい気分になった。

≪一つ目≫
触るつもりがなくても「あっこれだ」なんてわかってしまう、「鼡径靱帯」。上前腸骨棘と恥骨結節を結んでいる。私は後面からきた腸骨のぐるりときたラインが鼡径靱帯に代わって前までくるのが、器の縁を思わせてならない(どうでもいいことです)。しかしそれが、その骨盤に付着する筋肉を機能的効果的にさせている(スルーしましょう)。

≪二つ目≫
「縫工筋」。この大腿三角を触診するにあたって、この縫工筋を触診しやすい体勢にする。ということは、片足を組むってことね。縫工筋がしっかり浮き出させるためにもやってみようか。もちろん三角の点だから、上前腸骨棘の少し下くらい。で、停止部が「鵞足」。大腿神経だったね。

≪三つ目≫
「長内転筋」。閉鎖神経。三角の点を探すと恥骨結合部分から大腿骨粗線中央よりちょっと下まで。足を組むと内転筋のなかでラインがはっきりしている部分だが、その裏側に「大内転筋」が重なっている。私的の解釈ですが、足を組んだときに張っているのが「長内転筋」で足を組んでもポヨンとしているのが「大内転筋」。実際、かさなっているのだけれど、「大内転筋」はその下に、「内転筋腱裂孔」と付着部で「内転筋結節」までもう一繊維ある。だから、筋の張り具合に差がある(厚みも多少あるが)。
わかった?「前面後面」という大きい理由もあるが、触診する上で「筋のフチ」の張り具合のちょっとした差も判別には条件となる。

大腿三角の底をさぐると、「恥骨筋」「腸腰筋」「長内転筋の幅」を感じる。
「腸腰筋」の手前上側に動脈と鼡径リンパ節がある。「腸腰筋」の停止部は・・・大腿骨小転子。これはちょっと後面にぐいっとはいっておりますよ。
はいはい!「図」で確認!
(・・くそ~私の内転筋は脂肪と区別がつかない位のポヨンポヨンではないか)

知らないことがあるって素晴らしい。知っていくことの感動や満足感を得られるから。
損得基準で計算しない大人にならない。なんて考えながらも、自動計算される思考回路は判断基準を狂わせる。そんな時「自分のやりたいことを自分で考える」原点に戻る。悩んだ時にあなただったらススム?それともスルー?それは全てが正しい方向ではないかもしれない。
でも、「無駄」って本当はどういうことなのだろう。

記事担当:講師 富士子
houkoukindaitaijyoumyaku

(参考文献:図解 四肢と脊椎の診かた)