ここ何年か「筋膜」という言葉が、一般の方々の知識にもはいってきています。
骨にも膜があって骨膜といい、骨膜が損傷すると不全骨折に入る。(おおまかですが)だから、最初は筋肉の膜だから同じ解釈なのではないかと思っていました。「筋肉の損傷より筋膜の損傷が治りにくい」とか「「これは筋膜の損傷の腰痛だと医療機関に言われた」とか、一般の方々の知識の広がりは凄まじく実際そうなのか違うのかは別としてクローズアップされているのは確かである。
しかし今回の解剖実習での「fascia」の感想としては、膜は膜でも「部位別にその質感は全然違う」と感じた。しかし、目で見て手で感じた状態であり、ましては活動していない状態なので この感覚は絶対ではないのだと思う。でも、解剖学の先生が、下記に記載した跡見教授と同じことをおっしゃっていた。
ある書物での 跡見順子 東京大学名誉教授のお言葉をお借りすると
「fascia」を「筋膜」と訳すのは違う。ただ主要な組織を包む、
あるいは「組織をつなげてゆくタンパク質線維から成る膜系」が「fascia」で、動きとの連携からみると圧倒的に筋膜が多いので、「筋膜」と言いたくなるのはわかりますが、概
念としては、もっと広く一般的な言葉。
ふむふむ・・・そうなのかと。
少し今回の私の解釈の流れを整理してみようと思います。
実際、私も詳しくはありません。まず、外国語を日本語に直して表現するのは難しい。伝える側の解釈とその解釈を受け取る方のイメージは、個々である。日本語の表現方法も言葉自体がたくさんのあるではないか。
だから「fascia」が「膜」か「筋膜」かと、どちらかに決めて表現するのかは難しいかもしれない。先生もたくさんいるし、考えもたくさんある。
ただ言えるのは「膜」だって何種類も重なっている箇所もある。その各所で「厚さ」「硬さ」「薄さ」「大きさ」が違い。人によっても違う。それよりも、その厚さ、硬さの違いは「どうしてこの場所部分は厚くなったか」「硬くなったか」「薄さをもっているのか」の意味が重要で興味深かった。こちらをまず追及したい。
「基本あまり伸縮しない!」大きくは伸縮しないってことね。
「伸縮しない理由もある」。この理由もまた各所でルーツが面白い。
「全身似た材質」をもち、「成長過程での刺激具合や使用頻度により厚みなど個人差がある」。
「あまり伸縮しない」という表現で思ったことがある。
今回先生は「仙腸関節は動かない(妊娠期は別)」とお聞きした。1~2mmの動きはほかの関節に比べても動きがないので「関節」という名称はあるがただのジョイント。ということは
「軽い動揺」は「動く」と外国では認知されないのかもと感じた。ということは「ほとんど伸縮しないfascia」ということですね。
(こんなことで、立ち止まっているのは日本だけだな?!)
東洋医学からの視点。
全く「fascia」の一点クローズアップはないものの、体表より施術者は手のひらで表皮に軽く触れる動きで情報を得る。
「fascia」から感じて得るとは聞いたことがない。脈からも情報を得るが、それもやはり「fascia」の表現はない。
東洋医学でも私は、手から情報を得たいタイプ。(そうなのだしっかりがっつり触って質感や中の筋肉の情報を得るタイプ。)「fascia」にも大注目。中でも筋肉の成長過程や生活パターン、疲労具合も全て手から情報を得る。(視線や視点、着目点をどこにもっていくかはその施術者次第である。)
リラクゼーションからの視点。
「fascia」は大変重要で着眼点である。皮膚を大きく動かしたり、ストレッチ具合をする上で「fascia」の調子も手で感じて力加減を決める。調整したいのは「fascia」でもあり、「筋」でもあり心地よさは「神経」でもあり「脳」にも訴える。
私が今回、「fascia」の解釈については、答えがはっきりだせないのは、まだまだ身体を知らないからだと思う。でも、実際に解剖実習に携わること
記事担当:講師 富士子
で、「状態や質感を体験」した。大変参考になったし興味も湧いた。
また今度アップする内容として、「腸脛靭帯」「大腿筋膜張筋」「コンパートメント」「支帯」「胎児からの進化」などなどは、このすべてが「fascia」と関係している構造・機能であり、解剖学の先生の講義は、またさらにとても深く面白い。