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2019年9月5日更新

棘上筋は骨頭の付着部で切れていた


 

 

棘上筋は上腕骨骨頭の付着部分で切れていた・・・。
ある時の実習で「お~!!」実習参加メンバーが沸き立つ。
実際に見れるなんて!ありがたい!とメンバーの歓声。
(以前もヘルニアを見たときに感動したな。)

ことの顛末はこうだ。
・・・肩峰の下の様子がおかしい。解剖の先生が「確認しよう」と肩関節を外し始めた。
何を確認するのかな?と思いながらみんなで様子を伺う。
そもそも、「肩板をみたい」という意見で実習していた。
そこで「棘上筋が切れている」ことを発見。

早速、他の部分の作業を中断して先生の解剖に集中。
そこで登場「ギプスカッター」。
解剖の先生は肩峰を切断。何十回も肩峰を切断してきた話をしながら「ギプスカッター」を動かす。さすがに早い。(・・・「私がします」って言えなかったな(泣)。)

素早く肩関節を外してから、全員で骨頭と関節窩を覗き込む。
基本、上腕骨頭はツルンとしている。やはり驚くほどつややかな骨頭のその形は、何十年経過していたにも関わらずきれいに磨かれたように光っている。
骨頭の表面についているのは滑液の粘液。その粘液はねっとりしている。もちろん関節窩もねっとりしている。

その上腕骨頭を外した関節窩の内面には棘上筋が切れた状態が見える。
スパッと切れた揃えた状態での瘢痕ではなく、繊維の束をひきちぎったように不ぞろいの瘢痕である。少々、変色もしている。そして、硬い。

要するに人間の腱などの損傷の瘢痕は、細かい繊維を単位にミリミリ切れ、そのままで時間があれば切れた状態のままで硬く変化すると分かった。

解剖の先生曰く「この棘上筋から推察すると、生前の棘上筋損傷」だという。器質化したその形体から「生前の瘢痕」と判断した。
切れた損傷のままの状態だと上腕骨頭にいずれはボコボコした形質が表面にできていくという。今はないけど、いずれはそう経過をたどる、膝などの他の関節といっしょだなと思った。

解剖の状態から推察すること。
それは、データがなくても形態から情報を読み取るポイントが各所にある。
そんな話を聞きながら、瘢痕をじっくりと触る。
触りながらも「棘上筋が切れたらこうなるのだ」と自分の脳に叩き込む。
続きはまたの時に。

蛇足。
棘上筋の起始は棘上窩。太めの棘上筋は、上腕骨の大結節の前方に停止。
今回も感じたこの疑問点。骨から筋肉を剥離するととても苦労する。
私は「どうやってこの筋肉は骨に付着しているのかな」とひそかに考えている。
そして、さらに疑問。
骨と筋肉の「接着」って不思議に感じませんか。
超密着!「ニョキニョキ骨から生えてくる?」
・・・。
解剖実習で骨から外す時に苦労するし、反対に靭帯損傷の治療にくっつけるのに苦労する。
(精密に付着する超強力接着剤があれば、野球肘の靭帯損傷なんてこことここにしっかりくっつけて簡単に治せるのに~って思う・・・。)

2週間後の、解剖実習が待ち遠しい。
今回のハワイ大学では、どんなことが学べるのだろう。。。
もちろん、たくさんの質問を用意した。
参加する度に解剖ノートが充実していく。

解剖実習コラム担当:講師 富士子