事務長の小池が集中して作業していたの部分は頚部。
時々、献体さんと語り合っていた気がしましたが、聞くのが怖くて放っておきました(笑)。本当に見ていると笑えます。が、話しかけたくはない。
その事務長は、献体さんのうつ伏せの状態でブツブツ言いながらも「胸鎖乳突筋」に時間をかけてキレイに作業していました。一番のポイントは「胸鎖乳突筋」。丸くてしかも太い!「胸鎖乳突筋」がこれだけ主張したようにでかいとはみんなの想像は超えているはずである。たぶん普通に丸いっていうことが、しっかりと柱なんだってことを教えてくれている。さて、なぜ、ここまでしっかりとしたこの存在はなぜなのか。事務長は考えながらやっていたそうです。たまに叫ぶ声はその疑問の雄叫びだったらしいです。
「頭の位置が前側気味となり、胸鎖乳突筋に頭重がしっかりかかることで余計に大きさを増したのか?」
「男性だからこれは標準であり、この大きさは一般的なのか?」
「外人だから日本人の私達からすると大きく見えるのか?」・・・でも頚部自体が寸胴で太さがあり、脂肪のシワも寄っている。
これもキチントさんの事務長らしいキレイなお仕事ぶりでしたが、また事務長のすごいところ、後頸に筋もキレイにキレイにキレイに作業しました。(これだけ褒めればボーナスアップやね~(含み笑))
いやはや、「僧帽筋」の下に位置する「頚板状筋」「頭板状筋」。これがキレイな状態でみれました(事務長のおかげです、ハイハイ)。筋肉の重なり具合このV字がカッコイイわけですよ。V字が少し重なった富士子こだわりの部分も事細かにセンイのひとつひとつは非常に判別しやすい作業した形でのお披露目です。その重なり具合は文献通りですが、センイのキレイな形は文献以上です。
ここで小池事務長に記事を書いていただきましょうか。
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編集長、事務局長、運転手、棟梁の小池です。(要は「なんでも屋」(笑))
さて今回はとにかく集中的に「頚部」を視たかった。これは2回目参加のI賀先生のリクエストでもある。何献体も解剖させて頂いているが、「頚部」を集中して解剖したことは無かったかもしれない。
たぶんそれは全身を2日間という限られた時間内でチェックするところは沢山あり、「頚部」だけにじっくり取り組むことが出来なかったからだ。
もう一つの理由として頭部に関して、「お顔」近くを解剖する一線を越えられなかった事も事実である。
まず最初の段階から、全てのご献体には黒いビニール袋1枚が頭部全体にかぶせられている。
今回、C1まで切開しようと気合を入れた。富士子講師に言わせると「どんどんめくっていっての作業で大丈夫かと心配だった」そうだ。そこまで、夢中だったということかもしれない。
ちょっと、大庭先生に伺ってみました。
小池:「頚部を視たいのですが、少しだけビニールを外して、やってもいいですか?」
先生:「全部外していいですよ。」
小池:「えっっっ??????? 全部? 外していいんですか?」
先生:「はい。皆さんのために被せているだけですから」
小池:(あ、そうか。。。。。今までお顔拝見する度胸なかったしな。。。ブツブツ。。。アリなのか~。そうだよね。。。)←心の声
「ありがとうございます。やれる所まで頑張ります。」
そんな訳で始まった小池の「頚部」解剖。
何度も富士子講師に「ここ切っていいかな~」と聞いてみたものの「もっと全然平気。上までまだまだ」なんて言って、止めてもくれない。「乳様突起はもっと上だ」とか「頭蓋骨部分はもっと出す」とか手伝ってもくれない。しかし、興味もどんどん増してきているし、少しずつ完成していく形を眺めていると早くみんなに見せたくなる。
脇の下ほどではないのだが、背部も脂肪との距離感をさぐるように、肩甲骨上縁から肩甲棘から僧帽筋の輪郭を探索する。私は登頂部側に立って解剖しているため、動きに余裕がある。ふと周りをみると、皮下脂肪との戦いにまず感嘆の声をあげ、苦戦もしている。
まだまだ、僧帽筋が視えないのに、脂肪に混ざった筋膜みたいな組織を視て「これは筋肉か?切っていいのか?」と質問が飛ぶ。
「そんなに直ぐに筋肉は視えないもんなんだよね!」と私は心の中でつぶやく。。。
だって、本当にまずは脂肪との戦いなんだもの。
そんなこんなしているうちに、私が担当した「頚部」は比較的脂肪が少なかったためか、僧帽筋が視え始める。
そして、左側を残して、右側の僧帽筋を剥がす。
これは、右側肩部を担当している富士子講師に一声かけないとメスが飛んでくるとマズイ。
小池:「右肩部の僧帽筋を上角側から剥がしたいのですが、良い?」
富士子講師:「ダメ。そこ大事なんだから、私がやる。」
小池:「ハイハイ、お願いします。」
でもさすがに富士子講師お上手です。丁寧に剥がしてくれました。
(すみません。そんな厳しいこと言ったかな(ブラック富士子))
さぁ、筋膜をキレイに削いで、次に視えてくるのは「頭板状筋」のはず。。。 やっぱりそんなに直ぐに出てこない。筋膜に張り付いている脂肪はもっと丁寧に取らないと、筋肉をキズ付けてしまう。 慎重に慎重に。。。
あ、。。。 切り過ぎたか。。な~。。。 ちょっと余計な部分を切ってしまった。でも全然キレイに視れる。(開き直りか?)
この下の「頚板状筋?」 筋繊維がくっついていて良く分からない。
そんな時はね、指を使っていくのです。野蛮ですみません。でもこうしないと「頭板状筋」がどこまでなのか分からない。
ここかも! というところに指を入れて筋肉が二つに割れたらそれが境目。はっきりしているようでも、厚みとかが少ない分、微妙に1枚にみえてしまう。
ありました。思った以上にしっかりとした「頭板状筋」と「頚板状筋」
このまま切進めていくと、「頭半棘筋」や「肩甲挙筋」が視られる。
この先、いわゆる「後頭三角」と云われる部分までしっかり視る事が出来るだろう。
「後頭三角」に付いては富士子講師から補足してもらうつもりであるが、「椎骨動脈」のまがりくねる血管を含みながらの後頭部はまたさらに面白い部分である。
次回の楽しみとしよう!
しっかし、富士子講師って料理が適当な大雑把なのに、解剖の方がいけますねぇ。鍋作った時なんて 皿の上の肉も野菜も全部一緒に入れて、慌てて止めました。娘さん大丈夫でしょうか。
・・・「生きてます!(ブラック富士子)」
記事担当:小池
記事監修:講師 富士子
(参考写真:ボディーナビゲーション)