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2015年6月21日更新

肩甲上神経を見つける

やった~!「肩甲上神経」という大好きな神経とのご対面である。肩甲骨に入る前の部分の神経をつまみ、引っ張る。と、隠れていた神経経路に沿って神経がピコピコ動く。「神経」って云われないとタダの白いスジ。でも、枝分かれが見えた時にワクワク始まるのだ。
今回の解剖実習での私は「肩部」中心に張り付き(迷惑?)ローテーターカフをきれいに出す作業に時間を費やした。余りにも手際が良くなったふりをしてどんどん作業進行。途中「・・・んんん、これは何だっけ?」という白いスジ上物体が手に・・。大庭先生に「これはなんでしょうか」「筋膜」「あ・・・ぎゃ~~!!」。筋膜まできれいに取って筋肉繊維を出そうとしている私!「筋膜~(泣)」忘れてた。いやいや忘れてはいないが 筋膜は大事じゃないか!! すみません、みんな筋膜見たいよね。反省、気を取り直し作業再開。

支配神経が同じだと同じコンパートメントに入っていることが多い。特例だったのは前回。本当だったら「大円筋」と「小円筋」が違う神経支配なのでコンパートメントで区切られているはず。なのに前回の献体さんはそうじゃなかった。その状況に「お~!」なんて、その重要性もよく理解していないくせに私は感嘆した。今回はマニュアル通り!支配神経を隔ててローテーターカフのその筋膜は解剖本の通りに確認できた。

では、本題!「肩甲上神経」は「棘上筋」と「棘下筋」。同じ神経ということはどのルートを通過してそれぞれの筋肉に到達しているのか。そして今回はモーターポイント箇所もチェックする。大庭先生は、私が肩周りを整理した部分から更に手を入れる。「棘上筋」の深部を慣れた手でさぐっていく。

大庭先生が「これが肩甲上神経です」「お~~~!」
肩甲骨のえぐれたように見える「肩甲上切痕」部分から白いヒモが!!これだ。この肩甲骨をつきぬけて支配する筋肉に到達するのではなく、まわりこんで入る。
「切痕」って「どうしてそうなったのか」考える時があるが、でもこうやって神経・血管などを通過しているのをみると「まさか、この為?」って自問自答する。
さて、次に「上肩甲横靱帯(じょうけんこうおうじんたい)」について注目しよう。
「腕神経叢の上神経幹」より分岐した「肩甲上神経」は、体幹の後方へぐいっとまわり込み、肩甲骨に方向をむける。そこにあの「切痕」が見えてくる。そこは下側が「肩甲上切痕」で上側が「上肩甲横靱帯」というトンネル。そしてそのトンネルを入る。棘上窩に達した神経は第1の目的「棘上筋」に入り込む。続いての目的地の棘下へ向かうが、その「棘下筋」へ向かうルートに立ちふさがるのは「肩甲棘」かなり頑丈で立ち向かうのではなくて一度肩峰方向の外側に回り込みをかける。見えてきたのは「棘窩切痕」。その外下側から肩甲上神経はもぐりこみ、また方向をぐいっと棘下筋の芯部の内方向へと進路をきり変える。そして目的地、「棘下筋」に到着である。
ここで一度、振り返ってみよう。
「上肩甲横靱帯」を解剖実習で実際に見た状態は、そのトンネル部分の組織・筋肉を掘り出さないと神経は見られない状態であった。そしてそのトンネルの大きさも女性の指くらいの狭さ。ただでさえ、スポーツマンにとってのローテーターカフは負担と需要が多いくてこの筋肉や神経の調子を下げがちである。必ずといっていいほど、手をいれる必要がある場所である。これは、座り仕事から荷物を運ぶなどの一般の仕事をされている方も同様なのである。この神経のルート上の変異は筋肉に影響を起こすし、本当は何でもないはずだったその先にある棘下筋にも影響を与える。
そしてまた僧帽筋が肩甲棘に付着している。その硬さに隠れて棘上筋の変化も意外と気づきにくい。
私の治療において大切なのは、「視点を広げる」こと。全体をみるのは必須。本当のおおもとを探すだけではなくかばっている部分も計算しなければ、私にとって「身体を整える」とは言えないのだ。
さて、そろそろ終了。
今日言いたい「解剖学」について・・
どうして肩甲骨があの形なのか、肩甲骨に切痕がなぜあるのか追及してみたり、その機能性の面白さを見つけてみたり、そんな解剖学も楽しいではないか。どんな治療法でも根元にあるのは「解剖学」。その基本を伝えていきたい。・・・・今日は、酔っ払っておりません!編集長!たまに、マジっす! 

(えっ?いつも酔っぱらってるんですか? Byナンチャッテ編集長小池)

kekojyoshinkei

記事担当:講師 富士子
(参考写真:不明)