今回の献体の男性は体格の大きい方なので背部の湾曲も大きい。なので「筋力も落ちていた」と思われる。その仮説の理由は「高年齢」「体重バランス」「背中が丸くて脊柱間のゆるみがないくらい脊椎の距離感が狭く、全体の骨と比べてもと間隔が狭い気がする」同時に「頸椎から腰椎までの長さ」や「脂肪のつき方と存在する位置」あらゆる証拠でそう判断できる(本当かな(笑))。献体の姿勢は一応ベットに乗る形で直立に近いが この男性は体重のせいもあって背中を丸めて頭の位置が前寄りの生活していたとホームズふじこは考えたわけだ(爆笑)。・・・今回も脂肪の除去は大変そうである。
半日経過後。隣の献体をみた瞬間・・・・「えっ」衝撃だった。模範のような解剖実習ではないか!「脂肪がほとんどない」ということはここまできれいに仕上がるのだ。汚れも全くほとんどない。困った。雑なのかな・・・。こちらは、脂肪と脂肪から出た油分が常にあふれていて ケースの方に余分な脂肪や組織を移動する事も多かった。これも学びました。
最初からもうひとつの思考。「男性と女性の脂肪のつきかたは結構違う」。大庭先生も同意見でしたので間違いない(なんかうれしい)! 一番の違いは「皮下脂肪」。皮下に量があるのが女性の方に多い。それに女性は全体的にもつきやすい。男性は全体の皮下にまんべんなくというよりはまず脂肪がつく場所とつきにくい部分が存在することも多い。献体だけというよりは普段から脂肪チェックのうるさい私の見解でもある。今回はやはり脊柱部分の脂肪は少ない。腹部や内臓脂肪は男女変わりなくつきやすい。つまり、「隙あれば脂肪」の伝説は絶対に消えない。
早送り早送り―――――――――――――――――――――――――――――――
「脊髄」をピンセットで引き出す。前回はひっかかりもなくピンセットでするするっとすぐとれたが今回は1つ1つの「前根後根をはさみでカット」しながらの取り出し作業である。これは、前回が女性で今回が男性という理由でもないらしい。神経の太さとか脆さとかかな。わからない。
サイドの前根と後根が意外と手の力で引き上げても切れない。上位から順に体幹から切り離していく。はさみで切りながらなぜか「あぁもったいない・・・」と思う。だって、この前根後根が分岐して筋肉の隙間に入っていく部分なんて芸術です。これが神経の線維の集まりだなんて。もっと見ていたい。いやいやそんな問題ではない。早く進めないといけない。
やっぱり今回もキレイだった「軟膜」には眼で確認するのがギリギリの毛細血管がちらほら。そうなんだよね。あちこちに血管がその部分に到達して栄養を届けている。これを確認できるのも実習の凄さなんです。こうやって血管が栄養を送るのだとか、血管はこのルートを通過していくのだとかね。私にとっては体のしくみのを具体的に示されているのがわかりやすい。だって、文献には書いていないんですもの。
そうそう大事な事を言い忘れている。 脊髄切り離す前の参加者が感嘆の声を上げた部分。それは白い「歯状靱帯」(シジョウジンタイ)。これ・・どこの部分だかわかりますか。
これがあることで脊髄が安定するという大事なもの。そう「硬膜の一部」といわれる歯状靱帯で脊髄の位置を安定させてる。うぉ~!いいぞ!小さな精密機械だ。
記事担当:講師 富士子
(参考写真:ぜんぶわかる人体解剖図)