今回は「仙骨」に注目。
仙骨のなんとも「さなぎ」っぽい変な形は、取り立てて好きではない。「穴が開いているところが好き」なんて子供だったら言い出しそうだ。しかし、今回、仙骨の記事を書いていたら、「そう悪い奴でもない」なんて勝手に思った(バカボン)。
最初に仙骨の周知を先に述べる。
「仙骨」は脊柱の一番下端にある骨である。4~5個の骨が融合。
前面
「横走隆線」4本・・・椎間板の形跡(わぉ)
「横走隆線端」の「前仙骨孔」・・・椎間孔の残存(わぉ)、仙骨神経前枝が通る
「仙骨岬角」・・・S1の上縁
後面
「後仙骨孔」・・・仙骨神経後枝が通る
「正中仙骨稜」「外側仙骨稜」・・・脊椎の棘突起・横突起の形跡(わぉ)
「仙骨管」・・・脊髄が通る
「仙骨裂孔」・・・S5脊柱管開口部、麻酔点!!
「仙骨角」・・・S5下関節突起、指標点
(「仙骨管」と「仙骨裂孔」を次回の解剖実習で確認しよう。)(よし!)
女性の骨盤は、上側も下側も大きめ。人によって骨盤の出口の形と大きさは違うがどれが基準という訳でもなく、どれも正常と判断される。私達それぞれのDNAがあるように、寛骨の形にも多少の違いがあり、仙骨の関節の設置角度も多少の違いがある。隆起の状態や厚みが異なることで、その周囲の状態も違ってもくる。私達の手の感覚はそれを察知して「異常」ととらえるのではなく、「特徴」と考えることが必要である。(だから、たくさんの人に触れることが大切なのだ)
仙骨後面。中央縦に「正中仙骨稜」小さな結節がいくつもならんでいる。その両側縦に「外側仙骨稜」。そして穴は8つ。
「尾骨」。これも、3~4個の骨の融合。過去に整形外科で「尾骨骨折」といわれたという方達。いずれも転倒で打撲して骨折する。(統計によると、外より家の中での転倒が多い)。座る時は坐骨部分で受けるが、転倒時は骨盤が後屈しているので、尾骨が床にあたる。しかも、日本人のおしりに脂肪は少ない。(乏しい情報である)
腰椎を少し。腰椎は胸椎、頸椎よりやや大きい。「腰椎の椎間板もやや厚め」である。なぜなら、角度をつけるというか可動域を増やす為なのである。となると、イスに座っている時も、大きくカーブを描きながらも骨盤が後屈しやすくなる。しかしこれは長時間の経過で腰に負担のかかる姿勢である。代わりに、その後傾は、出産のときには胎児を10か月胎内で育てるどんぶりを形つくる。もう一つ、骨盤が後屈すると、より安産しやすい産道の角度となる。そして、お役目が終わった早々、脊柱の湾曲をきちんと整えることでどこかに歪みがいかないようにするべきである。
機能的につくられているものもどちらに偏るかはその方次第なのである。
仙骨は意外と立体的で厚みがある。これも個人差が大きい。
でも「さなぎ」に似ている(「図」にて仙骨を横からみて!)
腰椎を受ける部分が「腰仙関節」。
仙骨部分の上側にあたる部分は「仙骨底」という。
なぜ、上なのに「底」というのか。それは、そのものが三角形などの場合、頂点を「尖」といいその反対部分を「底」という。それは三角形に限らず「胃底」「眼底」なんかもある。身体のあらゆる部分で「底」という名称が出てきたら、反対側の「尖」や入口はどこなのだろうと探すといい。
今回、仙骨のあれこれを述べてきた。
一番改めて見て欲しい部分が「上後腸骨棘から仙骨部分までの深さ?」(高さ?の差)である。
仙骨後面は、平面ではない。実際は、想像以上の「高低差」をもつ。たぶん「図」で確認するなら下からのクローズアップが解りやすい。
基準となる上後腸骨棘の盛り上がりは個々に違いがある。上後腸骨棘は位置の基準点にはなるが隆起具合は違いがあるので、全体をみようってことですね。全体をみて、状態を把握する。
皆さんの仙骨後面はどうであろうか。腰じゃなく、仙骨のところに手をあてよう。
それは、骨か!筋肉か!脂肪か!(さなぎか!)
ぺったんこの平面?もしくは、痩せているのに仙骨の上が盛り上がっている?もしくは、腸骨まわりの脂肪がすっと引き締まり、仙骨を中心におしりの脂肪がリボン状?になっている?
(・・・あぁ、かわいい骨盤が欲しい・・・)
明日は、仙骨部分の多裂筋をいいたいね。・・・あ・・答えを先に言ってしまった・・・
記事担当:講師 富士子
(参考写真:ボディナビゲーション)