久しぶりに全部解剖実習内容です。 やはり専門的に書くことになるので固い話しになること間違いなし。
さて下肢部の実習もやはりマニアックで面白い。先ず解剖の先生に言われる事は「日本人は、何でも筋膜っていうけれど、実は捉え方が違うと思うのですが。私たちはファッシャー(fascia)と言います。」もう、この瞬間にノックアウトだ。。。意味不明が頭をよぎる。。。「筋膜は、じゃ何なの?」(私の心の声)
「下腿部に関しては女性が履くストッキングをイメージして下さい。fasciaとはそういうもの。」
ますます分からないのは私だけだろうか?。。。。。。
Fasciaについてはいずれまた一つの記事として設けます。今回は軽く流して下さい。
私的には「筋膜」「組織膜」「粘膜」「結合組織」これすべてfascia。そうまとめないとちょっとこんがらがった話になる(笑)
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脂肪を取り除くとハムストリングがさらに薄いきれいな膜に覆われている。申し訳ない。私は筋肉の中にしっかり手をもぐりこませバリバリとfasciaを剥がしていく。太腿から下腿のかけてきれいに一列の作業だった。これはよく考えてみればfasciaがあったからこそ剥がれにくいながらも、皮膚・皮下脂肪がfasciaとの間をきれいに足首まではがせたのではないかと考える。また、健康な人であればもっと大腿部、ふくろはぎなどモリッと筋肉が発達していると思うのだが、カレン(仮称)さんは持病のせいか?とても下半身が細いため、下肢の衰えが想像出来て何ともいえなかった。
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯 上殿神経(L4,5,S1)
起始・・・腸骨陵、上前腸骨棘の後
停止・・・腸脛靭帯
大殿筋 下殿神経(L5,S1,2)
中殿筋 上殿神経(L4,5,S1)
前回、おしりのところで大殿筋・中殿筋を取り上げたが、大腿筋膜腸筋と中殿筋が同じ支配神経なのは、お隣同士(?)だから。そして、中殿筋が近位で大殿筋が遠位なので支配神経は脊髄に近いほうからL4,5,S1の中殿筋、L5,S1,2の大殿筋,と解釈している。
腸脛靭帯は浮いている(?)。殿筋膜からそのまま腸脛靭帯に移行していて脛骨粗面に付着。
大腿筋膜腸筋と大殿筋の一部は腸脛靭帯に付着している。
だから、股関節と膝関節を安定させている。
これこそ、筋膜を象徴している部分といえるかもしれない。強靭な強さが欲しい部分に硬くて強い膜が歯科の過程でできあがったのだ。年配の方でこの部分がすごく硬くて脛骨粗面にも痛みが出ていた。全身の筋肉がそれほどではないのに突出して負荷がかかっていたのだ。そこまで炎症もあり痛みがあっても、一般のかたなので冷シップとサポーター、もしくは、冷シップとfasciaの生まれかわり(?)ともいえるワコールのCW-Xで十分落ち着く。
大腿筋膜腸筋から腸脛靭帯をほぐすコツはいろいろあるが、厚みと硬さがあるので、基本痛い。浅くリズムをもってしゃかしゃか浅くするのも良し。仰向けで股関節部をしっかりほぐすコツも、教えたので、大丈夫ですね。
あくまでも柔らかく、優しくほぐそう。
縫工筋 大腿神経(L2,3,4)
起始・・・上前腸骨棘(ASIS)
停止・・・脛骨近位内側部(鵞足)
この特徴をもった縫工筋。こんなに細いのに長い。あぐらを組む、足を組む動作、組んでいる足を外す動作時に股関節を屈曲・外旋・外転している。解剖の時、大腿三角(縫工筋、鼡径靭帯、長内転筋)を確認した後に、神経をみるのに縫工筋をチョキンと2分割に切った。
転子滑液包 大転子の外側後面の大きな滑液包・・・大転子と大殿筋の摩擦緩和の為
大転子の外側前面の小さな滑液包・・・大転子と中殿筋・小殿筋の間
大転子の部分の負担は年を重ねるほど、腰痛をかばうほど、体重が増えるほど、筋力が落ちるほど、膝を痛めるなどの下肢の外傷、などなど本当に症状が出る。人工関節もメジャーですが、できれば大事に使いたい。
忘れられないエピソードがある。
両方の股関節を手術したおばあちゃん。高年齢・体重のせいもあって、車イス移動を余儀なくされた。それが、久しぶりに会ったらヨタヨタだが歩いている。「えっ~~~~~~!」
なんと、同居したひ孫を追いかけていたら歩けるようになったと。「危ないと思って・・・」
そりゃそうだが、医者も「歩けない」っていってたじゃないか。この世界の私だって超驚きなのだ。
ひ孫の力は絶大である。
記事担当:小池
監修:講師 富士子