受講生の声

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2017年4月14日更新

受講後の治療の変化「解剖実習後、勉強の仕方が180度変わりました」

理学療法士 松本祥平先生

私は、病院に勤めております理学療法士の松本祥平と申します。

解剖実習には、日々臨床の中での疑問点を少しでも解決したく参加しました。
主に、臨床的に疼痛が発生しやすい部位を中心に着目して解剖実習させて頂きました。
特に構造として下肢解剖が興味深く、非常に勉強になりました。

1⃣ たとえば、臨床でよく目にする膝内側部の疼痛に関して
・膝内側部の関節包とハムストリングスの折り畳み構造
・膝内側ハムストリングスと腓腹筋内側頭の交差構造と滑走関係を観察することができ、
(構造的に膝内側部の柔軟性が低下すると、折り畳みできなくなることで膝の可動性が下がってしまい、)無理に折りたたもうとすると痛みが発生しやすい部位だと理解することができました

2⃣ また、臨床でよく出会う大腿外側部の痛みに関しては
・大腿外側組織の膝の運動に伴う滑走性の阻害、
・腸脛靭帯の外側広筋への食い込みなどが観察でき、徒手的に疼痛が改善する理由もはっきりと理解することができました。

3⃣ 加えて、膝の周囲で痛みに関与していると言われている、変性した半月板・軟骨、癒着・変性した膝蓋上嚢、膝蓋下脂肪体などを観察することができました。この周辺構造も多くの場合、折り畳み構造になっており、変性・癒着により運動を阻害することが観察できました。ご献体によって変性の仕方はさまざまであり、中には半月板が完全に摩耗しているご献体もおられました。

4⃣ 細かな機能解剖以外にも、人体を構成する組織には一定の「連続性」を感じることができました。
特に、日本では「筋膜」と呼ばれる構造「Fascia(ファシャ)」はとても興味深く、今まで学んできたものは一体なんだったのかと強い衝撃を受けました。僕が臨床の中で、筋肉だと思って徒手的にアプローチしていたものの大半が浅層に存在する「Fascia」であると知り愕然としました。
これを契機に人体に対する概念や捉え方が大きくに変化しました。帰国後も、「Fascia」について文献、研究を読み勉強を続けています。

今回の体験で一番強く感じたことは「実物をみることは何よりも大切」ということです。机の上で解剖書を100回見るよりも、1回実物を見る方が勉強になります。

解剖学は覚えるのではなく、感じて、考えることが大切だと思います。

まだまだ、わからないことがたくさんあり、必ず、再び参加しより多くのことを学んでいきたいと考えています

今回ハワイ大学の教授をはじめ、関係者の皆様、沢山の貴重な経験をさせて頂きまして本当にありがとうございました。深く感謝致します。

そして改めてご献体の方々に黙祷いたします。

合掌

理学療法士 松本祥平

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