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2016年6月2日更新

腰痛対談 第1回目「競馬、競輪選手の腰痛」(全5回)


対談シリーズ第一弾「腰痛」(全4回)

◆対談講師
総合司会:青山 朋樹 先生(整形外科医)
柔道整復師:志知 成治 先生
理学療法士:長谷川 聡 先生

第一回目「競馬、競輪選手の腰痛」

青山先生: 本日は「腰痛」をテーマにしたいと思いますが、最近の腰痛治療の現場では腰そのものに直接アプローチすることはなく、上位の胸椎、胸郭、肩甲骨、あるいは骨盤や下肢にアプローチする事が多いと思います。
まず最初にアスリート、特に腰に負担がかかる競輪、競馬の選手の腰痛特性をお話いただいて、一般の方の腰痛にどのように治療応用できるかについて、お話して頂きたいと思います。
まずは長谷川先生に競馬の選手の特徴的な腰痛と対処法をお話いただいてよろしいですか?

長谷川先生: 競馬の騎手というのは職業病とも言えるほど、ほとんどの騎手が慢性的な腰痛を訴えております。騎乗スタイルは股関節、膝関節などの下肢を屈曲、骨盤を前傾、体幹を前傾した、いわゆるシッティングポジションでの競技になります。
その姿勢において上肢を前方に押す、引く、押す、引くを、繰り返します。上肢を挙上させた状態でシッティングポジションを維持するので、胸椎の伸展の動きや、胸郭の広がり、拡張の動き、肩甲骨の動きが腰椎に影響を与えます。腰椎の過伸展による、腰痛を訴えている選手は胸椎の伸展可動域が狭かったり、屈曲になったままで伸展してこない。このような状態では胸郭が上手く広げられず、胸椎の回旋も不良です。このことから胸椎の動き自体がすごく悪い印象を受けます。

青山先生: 次は競輪選手の腰痛とその特性はいかがでしょうか?

志知先生: 今、長谷川先生がおっしゃったように競馬と類似した乗車フォームを競輪においてもとります。競馬との違いとしては競馬の場合は左右の足を均等に使うのに対して競輪は均等には使いません。常に左右の股関節、上肢を別途動かしつつ、連動させて動かす。ということは常に股関節、膝関節を屈曲して、足関節と底背屈を維持するのではありますが、ある程度固めないと抑えが効かない。例えば利き足でもぐらぐらしていたら引くことができない。押し込む時もぐらぐらしていたら押し込めない。そうなったら足関節は常に固めた状態が多くなりますが、固め過ぎると抜けないので、そこの微妙なバランスが必要になってきます。例えば長距離の練習をしますが、長距離の練習をする際には「膝窩筋」の緊張が亢進しますが、それに伴って前脛骨筋、腓腹筋、そして大腿前面、ハムストリングスなどの下肢の筋肉が全て過緊張を起こします。競輪ではハムストリングが強くないと駄目ですが、それらを緩める事ができないと、臀部、中臀筋から梨状筋周辺の筋緊張が亢進して、痺れが出てきます。これらの事から下肢の筋を固める事と緩める事ができないと腰痛をひきおこすことになります。さきほどの競馬と同様に、胸郭、肩甲骨を動かすことができないと、下の骨盤まで連動していかないので肩甲骨回りの動きも出してあげないと、腰痛の原因にもなってきます。

青山先生: 競馬選手の場合には競輪選手ほど踏み込む事ないと思いますが、騎乗の際の下肢の動きはどのようになりますか?

長谷川先生: 競輪と違うのは、基本的に競馬の騎手の下肢は固定が重要です。競輪選手っていうのは足で動いて出力を出しますが、競馬の騎手というのは馬の動きの邪魔をしないように、すなわち衝撃を緩衝するように下肢を使います。いろんな競馬選手の話を聞くと、如何に馬の邪魔をせずに乗れるかというのが、上手か下手かということでした。上手いジョッキーは自分が踏み込むのではなくて、固定をしてなおかつ馬に衝撃を与えないために自分の股関節を使って衝撃を吸収するようにしております。
そこで衝撃を吸収する際に下肢の一番使うところは股関節です。股関節の可動性であったり、そこにつながるハムストリングス、大腿直筋、腸腰筋の柔軟性がないと上手く股関節で衝撃を吸収出来ないので、その分、腰部に負担がかかってきます。

志知先生: 競馬選手では膝を止めますよね?

長谷川先生: そうです。膝を止めます。

志知先生: 馬を挟むように脚を絞めてますかね?膝を固定して、先ほどの馬の動きを妨げないように緩衝するのでしょうか?

青山先生: 先ほど出て来た「膝窩筋」が止めのキーマッスルになりそうですね。

長谷川先生: 実際、テレビ番組の特集でもやっていましたが、騎乗中、武豊騎手のあぶみ(足を引っ掛けるところ)には衝撃はほとんどかかってないんです。
馬に衝撃をかけないように、全部ここでとめて、股関節で吸収しているのであぶみのところには負荷がほとんどかかりません。

志知先生: 空中に浮いてる状態ですか?

長谷川先生: そうです。だからいかに膝関節以遠を固定し、股関節の機能をうまく使う事ができるかが重要になります。そこは競輪と共通した事です。

青山先生: 今のお話を伺いますと、膝窩筋のような止めの筋、これがきちんと使えてない、あるいは過緊張によって固くなってしまうと腰痛だけでなくパフォーマンスも低下するということですね。

長谷川先生: そうです。

青山先生: 下肢では「膝窩筋」がキーマッスルになりそうですが、上肢にもそんなキーマッスルはありますか?。

志知先生: 「肩甲下筋」ですね。あれは大円筋も関わってくるじゃないですか。また脇をしめる広背筋ですね。広背筋は腰方形筋にも被ってきます。腰方形筋も連動して関わってくることから、広背筋、肩甲骨周りの全てのインナーマッスルが重要になります。

長谷川先生: 確かに。競輪選手の多くは肩甲骨がぼこっと出て凄く発達しているのですが、レース前とレース後の広背筋の張りには凄い差があって、かなり広背筋、肩甲下筋も使っているんだっていう印象受けます。またレース前、レース後では肩の挙上の可動域が変わります。広背筋とか大円筋といった内旋筋群をレース中にはすごく使うんだなって印象があります。

志知先生: 競馬では固定するのは足だったじゃないですか。手〜肘にかけて広背筋を動かすと同時に止めていかないとだめですよね。多分広背筋って、相当使っています。レースの最後には力がなくなってくるくらい、重要な役割があるのではないでしょうか。

長谷川先生: なおかつ解剖学的にも広背筋は腸骨稜、仙骨稜に付着するので、やはりそれも腰痛に関係してくるのではないかと思います。

青山先生: 本日の話では競輪、競馬選手などのアスリートの場合はパフォーマンスを上げるためにインナーマッスルをしっかり使っており、レースあるいは練習後にはそれらの筋が強張ってしまうことから、これらを緩めていくということが必要とのことです。治療においてはそれらが施術の際のポイントになると思います。
次回はアスリートではない一般の腰痛にも腰部だけでなく、周囲の筋がどのように関わってくるかお聞きしたいと思います。

以後は第二回に続く

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対談講師紹介
写真左から
柔道整復師:志知 成治 先生
整形外科医:青山 朋樹 先生
理学療法士:長谷川 聡 先生

◆講師紹介(アイウエオ順)

青山 朋樹 先生
京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻
リハビリテーション科学コース 理学療法学講座 運動機能開発学分野 准教授
解剖実習アカデミー 解剖実習シラバス、ブログシリーズ監修
他、多数のセルフケア機器、再生医療製品の開発を行っている

◆主な研究テーマ
幹細胞生物学、再生医学、運動器医学、リハビリテーション医学
◆専門分野
リハビリテーション医学、整形外科学、再生医学

京都大学 青山研究室↓↓↓
http://humanalysis-square.com/member/

 

志知 成治 先生
柔道整復師
元競輪選手
自己開発技術セミナーを全国に発信中
岐阜県で接骨院を経営しながら、スポーツ選手などのパーソナルケアを行う
プロのスポーツ選手だったからこそ分かる、身体の不調と改善方法
田舎町の田んぼの中にある接骨院が口コミだけで繁盛院に
数多くの雑誌に取り上げられて取材を受けています

志知接骨院↓↓↓
http://shichi-sekkotsuin.jp/

 

長谷川 聡 先生
人間・環境学博士
理学療法士
㈱テイクフィジカルコンディショニング CEO
京都大学医学研究科プロジェクト研究員
武 豊 騎手 専属トレーナー
JARTAメディカルアドバイザー
現在、スポーツ選手、一般の方に向けたフィジカルコンディショニング施設を運営

テイクフィジカルコンディショニングジム↓↓↓
http://www.take-pc.com/