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2017年3月16日更新

腰痛対談「骨盤」2回目 (全2回)

対談シリーズ第2弾「骨盤」(全2回)

◆対談講師
総合司会:青山 朋樹 先生(整形外科医)
柔道整復師:大澤 訓永 先生

第2回目「骨盤の歪みの評価と骨盤の三次元構造」

青山先生 : 私たちも臨床現場で診る場合には、レントゲンで診るのですが、上前腸骨棘、上後腸骨棘を指標としてマークし、それが「間」の開きだったり恥骨結合の上下方向のずれとかを計測するようにしています。レントゲンではなくても体表からでもそれらのマークに計測器具をあてて、歪みなどを判定しているのですが、その結果をお伝えする際に数値だけを伝えてもわかりにくいことがありますので、大澤先生の様に手で触っていくやり方が患者さんにお伝えするのに一番いいやり方なのではないかと。

大澤先生 : やはり私たち施術家は自らレントゲンを撮れる環境ではないのと、撮影したものを見せてもらったとしても、それがどういう状態で、どの時期に取ったのかなど。実際に立ち会い、何枚も並べて経過を診比べるのは難しいので、視野と感触、感覚など使い、相手に伝えます。
施術後は、同じことをやり、身体の変化を診て・感じ、施術前とどうでしたか?というふうに比べて、相手にも実感してもらい伝えます。

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青山先生 : レントゲンというのは確かにレントゲンを撮る時の条件っていうのが重要です。被験者の方が必ずしもリラックスしているわけではないので状態をちゃんと反映しているのか少し疑問の時もあります。先ほどの横の緊張を取るというのも結構重要なことのような気もしますね。

大澤先生 : そうですよね。私が整形外科で勤務していた時もよくレントゲン撮影に立ち会いました。撮影される側は、狭い独特のスペース、明るさ、機械、臭いも?(笑)という非日常的な場所で、どちらかというと緊張が入りやすいですね。
通常、レントゲンは立位での撮影になりますか?

青山先生 : 立位ですね。そうでないと骨盤の高さの違いが分からないのですが、でも、それにしても立位にしていますと膝の屈曲の影響だとか、足部の影響とか出てきますので、本当にそれが正しい状況なのか分からない。

大澤先生 : 私がやっているのは、立位もありますが主は仰臥位でやっています。周囲筋の緊張を取り、リラックス・脱力した状態を作りやすいので。
前にあげたように、両脚・腸骨の開閉、腸骨稜の高さ、上前腸骨棘の上下・前後の高さの差などを。
逆に、立位と違い加重、骨盤に体の重さがかかっていないので、「今ある骨盤の形」として認識しています。
生活の中と同じような加重・筋緊張が加わった状態の測定も重要と思っています。

青山先生 : また今後そんな事を一緒に研究しながら評価方法なんかを作ってみたいですね。

大澤先生 : そうですね!是非、よろしくお願いいたします。

 

青山先生 : さて次ですが、骨盤て、やはり三次元的に理解しないと、解剖書で勉強するのも大事なのですが、骨盤の三次元構造というのは視ないと分からないですよね。

大澤先生 : 心から感じます。私は前職が建築業界出身なので“構造物”としても骨をみています。
骨盤って、もの凄い計算された形なんだな~という風に感激します。骨盤は普通の骨と違うじゃないですか?
丸いドーナッツ状になっていて、力を分散して背骨に伝わらないようにというのも有りながら、骨盤内の臓器を守りながら、仙腸関節も有りながら・・・複雑な形なので。
テキストを見ると2Dでそこに書いてありますし、骨格模型を見ていても3Dであるんですが…わからない事が多いです。それは、私の理解力・空間想像力の問題もあると思いますが(笑)

人体解剖でご献体を視た時に「やっぱりこれだったんだな。」と感激したのが、プラスで構造を物支えている「スジカイ」にあたるようなもの。「靭帯」があるんですよね。この靭帯の張っている固さですとか方向ですよね。建物も柱だけで建っているわけではなく、「スジカイ」というものが必ずあって支えています。
そこで、何でここに靭帯はあるのかな?などと疑問がうまれてきます。
靭帯自体に収縮して引っ張る力は無いわけじゃないですか。そうすると、靭帯はどちらかというと倒れるものを止める、固定をするものだったり。
テキストでは伝わりにくい、方向や張りの具合をみると、立位の時はこっちに張力がかかっているんだ。それを止める方向に走行している靭帯があるんだなという・・・。毎回実習に参加して、実物を観て、感動するところですよね。股関節もそうですけれど。

青山先生 : 仙棘靭帯なんか特にそうですよね。図だけで見ていますと線状の構造体ですけど、方向や何故このように広がっていて、そして触れた時の固さというんでしょうか、これは図だけでは分からない。
恥骨結合の繊維軟骨の構造と仙棘靭帯の固さっていうのは、全く違うものなのですが、図だけでは全く伝わらないですよね。

大澤先生 : この仙棘靭帯というのは、一つの骨盤のユニットだなという捉えができるように強靭になっていましたね。仙結節靭帯のそうですが。

青山先生 : この辺の張力っていうのは、触ったり、少し動かしてみないと分からないものです。

大澤先生 : 私は実際のアプローチの時には、仙結節靭帯の周辺。この先にはハムストリングスが連結しているので、腱・筋膜含めてアプローチポイントとして、腰痛などの施術に実際に使いますよね。

青山先生 : 確かに図ですと周囲の筋肉とかが無いので分からないですけど、実際には筋肉、靭帯がくっついていて。

大澤先生 : 筋肉・筋膜・靭帯の繋がりは、腰痛、仙腸関節の痛みなどに対し臨床の場では重要な場所ですよね。
走行に対しての影響、普段はクセにある方向しか動いていないのか?本来の動きが制限されているのか?動き過ぎているのか?左右差はどうか?・・・
など考えながら、3Dで実際に観たものを重ね合わせてイメージして、アプローチをしていくと身体が変わっていくのを感じます。

青山先生:そうですね。やはり三次元的に観たものを重ね合わせていくのは大事なことです。
さて今回はそろそろ時間となりますが、また今後、ぜひ、骨盤矯正の話などもしてみたいですね。

大澤先生 : はい。ぜひ骨盤矯正についての何かコラボをさせて頂きたいです。よろしくお願いします。

 

以上、今回お二人の先生に「骨盤」について対談をしていただきました。
青山先生、大澤先生、貴重なお時間をありがとうございました。

この対談をきっかけにお二人は大いに盛り上がり、コラボセミナーを開催される事になったそうです。
弊社の企画ではないのですが、セミナーの詳細はfacebookにリンクしておきます。
一般参加も可能なようです。

解剖実習アカデミー事務局

 

◆講師紹介(アイウエオ順)

青山 朋樹 先生
京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻
リハビリテーション科学コース 理学療法学講座 運動機能開発学分野 准教授
解剖実習アカデミー 解剖実習シラバス、ブログシリーズ監修
他、多数のセルフケア機器、再生医療製品の開発を行っている

◆主な研究テーマ
幹細胞生物学、再生医学、運動器医学、リハビリテーション医学
◆専門分野
リハビリテーション医学、整形外科学、再生医学

京都大学 青山研究室↓↓↓
https://humanalysis-square.com/member/

大澤 訓永 先生
Diploma of Remedial Massage (オーストラリア国家資格)
はり灸師、あんま・マサージ・指圧師、柔道整復師、登録販売者(2,3類医薬品)

(社) 日本BMK整体協会  代表理事
(社)JAPAN AUSTRALIA THERAPIST ASSOCIATION AIGASHO 本部講師/技術監修

他、訪問・高齢者に特化したメソッドの開発、
ビューティーセラピストへの知識・技術指導などの活動を全国にて行っている。
https://bmkbiken.or.jp/

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