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2014年11月9日更新

解剖実習で確認した女性の豊胸手術後の【 組織膜 】について


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( (c)AFP/ANNE-CHRISTINE POUJOULAT より転載)

2回目のシリコン(インプラント)、組織膜について興味深い実習内容をお話ししたいと思います。(以下インプラント。アメリカではインプラントと呼びます。)
解剖実習を行っていると、様々な持病や後天性の病を患った献体に出会います。
今回は64歳のアメリカ人女性カレンさん(仮名)でした。うつぶせの状態の彼女を解剖し、脂肪を除去してゆく時に、左乳房の側面からゼリー状の透明な液体が流れ出てきて、インプラントを注入していることが発覚しました。左乳房のインプラントがでてしまったので、右乳房は上手く温存していく方向で解剖を進めました。

カレンさんのインプラントは恐らく何十年前のものと考えられるようです。
何故なら、今の時代、あのようなゼリー状のインプラントは使用しないとのこと。

そして、ここからがお伝えしたい事です。
人体の素晴らしさというのはインプラント注入によっても見られるものなのです。
彼女を仰向けにし、右乳房を丁寧に切除していった結果、
彼女のゼリー状のインプラントの周りには「薄い組織膜」が出来ており、「無数の毛細血管」が張り巡らされていました。

どういうことかというと、人体が外部からの異物を感知し、
カレンさんの内部を守ろうとして「組織膜」が出来上がったということです。

その年月は計り知れませんが、1mm程度の組織膜でしたので、長い年月をもって出来上がったのでしょう。周りの脂肪もしっかり根付いていましたから。
その組織膜は楕円で、本当にバッグのようになっていました。
カレンさんがいつ、ゼリー状のインプラントを入れたのかは分かりません。
もしかすると、ゼリー状バッグを注入したかもしれないし、ゼリー状をそのまま注入する古いタイプのものだったのか。。。
ただ、古いタイプのものは、炎症を起こしたり問題が多く、アメリカでは随分前に禁止になったそうですから、ゼリー状を入れてあのまま残っていたのであれば、ラッキーだったのでしょう。

現在は、もっとハイテクのシリコンバッグだそうなので、カレンさんの内部に出来上がった組織膜を見られた事はとても貴重な体験でした。

それにしても昔はゼリー状をそのまま注入していたということがちょっと怖いですね。

 

 

【補足~インプラントのあれこれ】
・生食バッグ
生理食塩水バッグは、豊胸術で用いられる人口乳腺の一種です。シリコン製の膜を挿入後、チューブを使用して生理食塩水を注入することで豊胸効果を得ます。
以前は豊胸手術の主流でしたが、他の質の良いシリコンバッグの開発・普及に伴い症例は減少しています。
(美容医療相談室より引用 http://biyou-iryou.jp/catalog/detail/185/)

・PIPバッグ
「体内で破裂する」との恐れがある豊胸用シリコン・バッグが、英国を始めとする欧州各国を中心に大きな健康上の懸念を広げている。この豊胸材は、フランスのポリ・アンプラン・プロテーズ(PIP)社が製造したもの。同社は、医療用としては未認可の産業用シリコンを使用していた。事態が発覚すると、フランス政府は同社の製品を使用禁止とする措置を取り、同社は2010年に倒産している。
(http://www.afpbb.com/articles/-/3003340 これは2013年、昨年の記事ですね。怖いですね)

・CMCバッグ
CMCジェルバッグは、アリオン社(フランス)が開発した、Carboxy Methyl Cellulose(カルボキシメチルセルロース)と生理食塩水などの混合物でできたハイドロジェルバッグです。
内容物の成分であるカルボキシメチルセルロースは、食品添加剤などにも使用されている水溶性物質ですが、安全性については意見が分かれています。安全性は高いという主張もありますが、販売が禁止されている国もあり、FDA(アメリカの厚生労働省にあたる機関)でも未承認です。
(美容医療相談室より引用 http://biyou-iryou.jp/catalog/detail/185/)