ブログ

お知らせ

2015年6月16日更新

肩甲骨回りを解剖していて感じる事

あなたは「肩甲骨」の面白さを知っていますか?と言っている私でさえ解剖実習をする度にまだまだ驚くことや「やっぱりスゴイな~」と感じる部分が満載の箇所なのである。
まず、あの形。富士子的に暴言吐いちゃうと(あぁ、カワイイ♡)、「なんなんだ、この形!」(コワッ)
と、そこから始まる。よく考えても考えなくてもあの形が人間にとっての機能性を持っていることは理解している(つもり)。
「何が?」といわれれば、肩甲骨に付着する筋肉を整理してみても面白い、それぞれの機能の拮抗作用を考えても面白い、献体さんによって「位置」が違うのも面白い。「位置」や「角度」や「特徴」が違うだけで、肩甲骨周囲のいろいろな筋肉がそれにあわせて変化する。もっともっと言えるし!
今回の記事には書きませんが、大庭先生に「拮抗筋」を語っていただいたことがまたうれしくてうれしくて。何度聞いていても肩甲骨に惚れる前に大庭先生に惚れてしまいそうになる。(すいません、また暴言、反省します編集長)

今回、背面が丸くて脊柱の両キワのガーター筋まで盛り上がる体型の献体なので、肩甲骨が外側に押しのけられ背面が広がっている。ということは、そうなんです!やはり「大菱形筋」がびろ~んと伸びきっていてかろうじて肩甲骨を脊柱につなぎ止めている。「ひし形の大菱形筋が台形になってる!こんなに伸びきるのだ~!」と目を見開いてみて触ってしまいました。「位置」は治療においても重要チェックポイントですね~みなさん。
肩甲骨の本当の姿は、解剖の文献や写真で確認しようとしても難しいこと。また、模型も筋肉がないと「全く違うイメージ」になる。それは肩甲骨のあの(へんてこな)立体感と周囲の筋肉・靱帯は単純な模範の基本形だけではないということが複雑な原因。考えてみよう。体軸に固定され過ぎていない肩甲骨は、日常的に動作によって胸郭のあの鳥かご形の上側面からすべり落ちずにいる。行動範囲は意外と広い。上側面から脊柱寄りから外方方向までをもすべりながら移動できる。そしてやっかいなのは、あの変な変な変な形の突起とかあってさ、肩甲骨のあちこちに軸とか支点をもっているものだからバリエーションありありでしょ。(興奮しすぎ!)肩甲骨に関しては毎日でも語れる(あぁなんて変人なんだ by 編集長)。

今回、実習参加者の鍋山先生に「肩井(けんせい)」というツボの位置はどうなっているのだと聞かれたとき、「肩甲骨上角」って言った。うそつきか~?だって、上角って予想以上に前方まであるし~、筋肉がぎゅっとと縮んでいるし~、私の好きな部分だし~・・・答えがひとつではない事を前提にしても、そこにあるのはなんなんだと改めて思考を整理した。献体で目の前にあるのは一例。先程、胸郭の鳥かごといいましたが、鳥かごの上側面をまず思い浮かべる。僧帽筋は背面で一番外側の薄い筋肉。薄いけど広範囲に及ぶのと「上部繊維」「中部繊維」「下部繊維」まである。その「上部繊維」のちょうど中間くらいの箇所と想像していこう。この「肩井(けんせい)」というツボは文献では僧帽筋のふちと書かれていることが多いのかな。ネットではまた違う表現をしている。
さて、問題のその部分の「層」はいったいどうなっているのか。
盛り上がっているならそれはうっすい僧帽筋と考えるより「棘上筋」の盛り上がりである。実は棘上筋だったみたいなね(カップケーキの上のマロンの薄さみたいなものだ(富士子語録))。
ツボはこの「棘上筋」の上を通過しているという可能性はある?ない?「棘上筋」は回旋筋群のひとつで役割は多い、主に「外転」と「安定」。この機能性の記事は今回はなしとして、「棘上筋」は予想以上に「太い」「でかい」「深~い」。「棘上筋」が機能発達している人程この筋肉が盛り上がっているのが通常だ。しかし、人によっては筋肉の盛り上がりは、肩甲骨の移動と共に後下方や外方にもっていかれるとするとまた状況が変わってくる。
そのツボの下は「腕神経叢」と「動静脈」。(特に小柄の人の肩部はさらに凝縮した構造で隙間が少ないものである)「腕神経叢」「動静脈」で枝わかれもしている箇所。・・・確かに「腕神経叢」「動静脈」は重要で広範囲につながっている(当たり前)。肩と上肢はセットだし。・・・第1、第2肋骨があるということは前・中・後斜角筋の付着部もあるぞ。
ん?! 「肺尖」の先端部分を指している・・・?! いや、ギリ指1本内側か?! 経絡の胆経、胃経、三焦経の交わるところだし、なんか本当に東洋医学でいう「気血」が吹き出してきそう。
・・・・・みなさん飽きずに最後まで妄想劇場に付き合っていただいてありがとう。「肩井(けんせい)」というツボは「僧帽筋のふち」が解りやすいです。  以上 

記事担当:講師 ふち子  (また大榎先生に笑われるなぁ・・・)
(参考写真:ボディナビゲーション)
kenkoukotu